【導入事例】Rosenbergerが洗浄工程のクリップ8,500個を内製化|Formlabs Fuse 1+ 30W

設備が止まったときの交換部品だけでなく、日々の工程改善に使う部品も社内で製作できれば、現場の提案を形にしやすくなります。
高周波・光ファイバー・高電圧の接続ソリューションを手がけるRosenbergerは、2017年からFormlabsの3Dプリンターを活用。
SLS・SLA方式を用途に応じて使い分け、設備の交換部品から洗浄装置用の部品、製造工程で使用するクリップまで幅広く製作しています。
目次
Rosenbergerの導入背景と課題
Rosenbergerは、1958年に創業した接続ソリューションメーカーです。
通信や産業分野などで使用される高周波・光ファイバー・高電圧の接続製品を製造しています。
同社は2017年からFormlabsの3Dプリンターを導入し、公式事例ではFormシリーズ7台とFuseシリーズ3台の運用が紹介されています。
設計段階の試作から、設備の交換部品、製造・組立工程で使用する治具まで、社内のさまざまな部門から寄せられる要望に対応しています。
導入当初は、3Dプリントに対して社内で懐疑的な見方もありました。
特にFDM方式の造形品質を基準に考える従業員からは、精度や表面の粗さに対する懸念があったといいます。
そこで、まずSLA方式で造形した部品を提示し、滑らかな表面や寸法精度を実際に確認してもらうことで、3Dプリントの活用を広げていきました。
また、設備の交換部品を従来のCNC切削加工で調達する場合、製作に時間がかかることも課題でした。
少量の試作では射出成形用の金型を用意する負担もあり、短期間で設計を変更したり、複数の案を試したりすることが難しい状況でした。
使用製品と材料の使い分け
Rosenbergerでは、SLS方式のFuse 1+ 30Wと、SLA方式のForm 3+を用途に応じて使い分けています。
多数の部品や大きな部品を製作する場合には、Fuse 1+ 30WとNylon 12 Powderを使用。
粉末処理にはFuse Siftを活用しています。Fuse Siftでは造形後の未焼結粉末を回収し、公式事例では回収した粉末の60%を再利用していると紹介されています。
一方、滑らかな表面や細かな形状、透明性が求められる部品にはForm 3+を使用。洗浄装置用の透明なボールにはClear Resinを採用しています。
このように、Rosenbergerでは製作数だけでなく、部品に求められる表面品質や形状、材料特性を考慮して造形方式を選択しています。

現場での3つの活用例
1.交換部品の調達を速める
Rosenbergerでは、工場内の生産設備を維持するため、故障や摩耗などに備えた交換部品を必要に応じて製作しています。
従来、こうした部品はCNC切削加工で製作していましたが、加工には時間がかかり、設備の停止時には部品を早く準備する必要があります。
そこで、Fuse 1+ 30WによるSLS造形を活用。
従来の切削加工と比較して、交換部品を80%速く入手できるようになり、担当者は翌日までに必要な交換部品の依頼にも対応できると説明しています。
設備の交換部品を社内で必要に応じて製作できることは、調達待ちによる生産への影響を抑えるうえでも役立ちます。
2.洗浄水の向きを調整するボールを製作
工業用洗浄装置では、洗浄水が効率よく流れていないことに気付いた現場の従業員から、改善の提案がありました。
そこで、洗浄水の流れを調整するため、中空のボール状部品を設計。
内部に設ける穴の角度や向きを調整し、水を必要な方向へ導ける形状を検討しました。
この部品はForm 3+とClear Resinを使用して一体造形しています。複雑な内部形状を一体で製作できるため、複数の部品を切削加工して組み立てる方法や、鋳造による製作と比べて工程を簡略化できます。最終的な穴加工にはCNC加工も併用しています。
完成した部品を洗浄装置に取り付けたところ、洗浄性能が改善し、水とエネルギーの使用量も削減されました。
必要な数量は約40個と少ないため、金型を用意する射出成形ではなく、必要数を3Dプリントで製作する方法が採用されています。

3.洗浄工程向けのクリップ8,500個を製作
別の洗浄工程では、超音波洗浄槽の容量を十分に活用できておらず、一度に少量の部品しか洗浄できないという課題がありました。
そこで、ステンレス板に部品を載せ、まとめて洗浄槽へ投入できる搬送システムを考案。
ステンレス板を取り付けるためのクリップを、Fuse 1+ 30WとNylon 12 Powderで製作しました。
製作したクリップは合計8,500個。Fuse 1+ 30Wを5週間稼働させて必要数量を用意しました。
SLS方式はサポート材を必要とせず、造形エリア内に複数の部品を配置して一度に製作できます。
Fuse 1+ 30Wの造形容量とFuse Siftを組み合わせることで、多数の部品を効率よく製作し、洗浄工程全体の処理効率改善につなげています。

設備改善を内製化する際のポイント
Rosenbergerの事例では、設備の交換部品、洗浄水の流れを調整する部品、多数の取り付け用クリップなど、異なる用途に3Dプリントを活用しています。
注目したいのは、すべての部品を同じ方式で製作しているわけではない点です。
表面品質や透明性が求められる洗浄用ボールにはSLA方式のForm 3+とClear Resinを使用し、多数のクリップや交換部品にはSLS方式のFuse 1+ 30WとNylon 12 Powderを採用しています。
また、必要に応じてCNC加工などの既存設備も組み合わせています。
3Dプリントですべての加工工程を置き換えるのではなく、それぞれの製造方法の特長を活かして使い分けている点も、この事例の特徴です。
さらに、社内で3Dプリントを活用できる環境を整えたことで、現場の従業員が工程上の課題に気付き、改善案を実際の部品として試しやすくなっています。
試作や検証を繰り返しながら、少量生産や工程改善につなげられることも、内製化のメリットといえます。
自社で導入を検討する際は、部品の使用環境や必要数量、求められる材料特性に加え、後加工や検証に必要な作業も含めて製作方法を比較することが重要です。
出典
Formlabs「How Rosenberger Optimizes Traditional Manufacturing and Lead Times With 3D Printed Tooling and End-Use Parts」(2024年8月20日公開)。
本文と画像は同公式事例をもとに構成しています。数値・導入規模は同記事で報告された時点の実績です。















