カーボン3Dプリンターのおすすめ5選!特徴やメリット・デメリットも紹介
- 3Dプリンター
- 2024.7.2
- Markforged メリット・デメリット
3Dプリンターといえば、植物由来のPLA樹脂でつくられたPLAフィラメントや、合成樹脂の一種であるABSフィラメントを用いて、立体物を作る場合が多く見られます。コストが安く扱いやすい一方で、強度面で物足りなさを感じることもあるようです。
強度を求める物を作りたいときにおすすめなのが、カーボンファイバーに対応した3Dプリンターです。
本記事では、カーボンファイバーに対応した3Dプリンターを5つ厳選しました。
さらにカーボン3Dプリンターの特徴やカーボンフィラメントの強み・弱みを解説しますので、より本格的な立体物を作りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
カーボン3Dプリンターとは?
カーボン3Dプリンターとは、作成した3Dデータをもとに、カーボンフィラメントを2次元の断層状に積層して、立体モデルを製作する機械です。
一般的に広く使用されている樹脂フィラメントと違い、金属並みの強度で製作することもできます。
機種によってはカーボンフィラメントだけでなく、グラスファイバーやケブラーを用いた印刷ができるものもあります。
金属並みの強度でありながら、軽量のものを製作できるためドローンの部品や、プロペラといったものの製作に使用可能です。
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おすすめのカーボン3Dプリンター5選
今回紹介する5つの3Dプリンターは、造形材料としてカーボンファイバーや、マイクロカーボン繊維を含むナイロンベースのOnyxに対応したものです。
カーボン3Dプリンターをお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
FX20
Markforged社の「FX20」は、84Lのビルドチャンバーを備えており、Markforged社が提供する3Dプリンターの中で最も大きな造形エリアを保有しています。
またカーボンファイバーのほかに、高性能熱可塑性材料のULTEM™ 9085フィラメントが使用可能です。
CFR(Continuous Fiber Reinforcement)技術を活用すれば、強度を高められます。
さらに再利用可能なプリントシートと、巨大な精密研磨バキュームベッドを搭載しているため、プリント中のパーツの動きを抑え、造形モデルの品質と精度を向上させることが可能です。
メーカー・製品名 | Markforged「FX20」 |
最大造形サイズ | 525mm × 400mm × 400mm |
ノズル数 | 3(樹脂×2、ファイバー×1) |
積層ピッチ | 50μm ~ 250μm |
本体サイズ | 1325mm × 900mm × 1925mm |
造形方式 | FFF + CFF |
重量 | 530kg |
対応素材 | Onyx™、Onyx FR™、カーボンファイバー、ULTEM™ 9085※一部抜粋 |
商品詳細 | 公式ページ |
FX10
「FX10 」の特徴のひとつが、プリントヘッドに取り付けられた光学センサーを備えた新しいモジュラー構造です。
部品の寸法精度を検証して、デバイスの状態と性能を評価することで、自動で校正と材料交換を実現しています。
プリンター内の材料格納庫には、4つのスプールを収納できるため、自動での材料交換と迅速なスプールのローディングを支援します。
また7インチのタッチスクリーンが搭載されているため、プリントの開始、リアルタイムでのマシンの状態の確認などを1つのデバイスで管理できます。
メーカー・製品名 | Markforged「FX10」 |
最大造形サイズ | 375mm × 300mm × 300mm |
ノズル数 | 2(樹脂×1、ファイバー×1) |
積層ピッチ | 125μm ~ 250μm |
本体サイズ | 760mm × 640mm × 1200mm |
造形方式 | FFF + CFF |
重量 | 109kg |
対応素材 | Onyx™、カーボンファイバー |
商品詳細 | 公式ページ |
X7
「X7」は、カーボンファイバーを含む4種類の長繊維の素材に対応しているため、アルミニウムと同等の強度を持つ製品を造形可能です。
さらに本体ヘッドには、レーザー計測器が組み込まれているため、造形テーブルの精確なレベリングが可能です。
内部形状の寸法検査を造形過程でもできるため、高精度で高品質な造形を実現します。
また、UL94規格のV-0レート認証を取得した難燃性素材「Onyx FR™」に対応しているため、難燃性を求める航空宇宙産業、自動車産業、防衛産業など向けの部品の造形に適しています。
メーカー・製品名 | Markforged「X7」 |
最大造形サイズ | 330mm × 270mm × 200mm |
ノズル数 | 2 |
積層ピッチ | 50μm ~ 250μm |
本体サイズ | 584mm × 483mm × 914mm |
造形方式 | FFF + CFF |
重量 | 48kg |
対応素材 | Onyx™、Onyx FR™、Onyx ESD™、Nylon White、Precise PLA、Smooth TPU 95A、カーボンファイバー、ファイバーグラス、Carbon Fiber FR、Aramid Fiber (Kevlar®) ケブラー、HSHT ファイバーグラス ※一部抜粋 |
商品詳細 | 公式ページ |
Mark Two
「Mark Two」は、プラスチック素材であるOnyx™などで外部を覆いつつ、内部を連続的なカーボンファイバーで補強するMarkforged独自のCFR(Continuous Fiber Reinforcement)技術を駆使した製品です。
本体サイズが584mm×330mm×355mmとコンパクトであるため、限られたスペースでも設置可能です。
小規模なオフィスや研究室、教室など、スペースに制限がある場所にも設置できるため、本機を使用するために大きな場所を確保する必要はありません。
メーカー・製品名 | Markforged「Mark Two」 |
最大造形サイズ | 320mm × 132mm × 154mm |
ノズル数 | 2 |
積層ピッチ | 100μm ~ 200μm |
本体サイズ | 584mm×330mm×355mm |
造形方式 | FFF + CFF |
重量 | 16kg |
対応素材 | Onyx™、Nylon white、Smooth TPU95A、Precise PLA、カーボンファイバー、ファイバーグラス、Aramid Fiber (Kevlar®)ケブラー、HSHT ファイバーグラス ※一部抜粋 |
商品詳細 | 公式ページ |
Onyx Pro
「Onyx Pro」は、主にABSの10倍もの強度があるグラスファイバーを用いた造形に適した製品です。
グラスファイバーのほかには、マイクロ炭素繊維充填のナイロン素材であるOnyxフィラメントも使用可能です。
一体型のアルミニウムの筐体を持ち、精密に機械加工された各部品で構成されている本機は、数千時間にわたって完全自動で信頼性の高い3Dプリントを実現しています。
メーカー・製品名 | Markforged「Onyx Pro」 |
最大造形サイズ | 320mm × 132mm × 154mm |
ノズル数 | 2 |
積層ピッチ | 100μm ~ 200μm |
本体サイズ | 584mm×330mm×355mm |
造形方式 | FFF + CFF |
重量 | 16kg |
対応素材 | Onyx™、ファイバーグラス、Precise PLA、Smooth TPU95A |
商品詳細 | 公式ページ |
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カーボン3Dプリンターの3つの特徴
ここからは、カーボン3Dプリンターの3つの特徴を紹介します。
高強度で軽量ながら低コスト
長繊維のカーボンファイバーフィラメントを使用すれば、金属並みの強度が実現可能です。
またカーボンは金属と比べて軽量なので、造形物の軽量化を実現したい場合に適しています。
金属プリンタの装置と比べても、コストを抑えて導入できるため、テスト的に導入することも可能です。
高精度・高精細で美しい造形が可能
内臓センサーとレーザースキャンを搭載したタイプの機種では、造形中の精度を把握できるため、高精度での造形を可能にしています。
仮に造形を一時中断して、プリントヘッドを外して、部品を追加し、再度プリントヘッダを戻しても、高い精度でプリントの再開が可能です。
強度、剛性、重量、コストなどを自由に変更
今回紹介した5つの機種は、マイクロ炭素繊維充填のナイロン素材であるOnyxフィラメントに対応しています。
この素材とさまざまな長繊維を組み合わせると強度や剛性、重量、コストなどを自由に変更できます。
カーボンファイバーフィラメントの強み
カーボン3Dプリンターで用いられるカーボンファイバーの強みを3つ紹介します。
優れた機械的特性
カーボンファイバーフィラメントの最大の強みは、優れた機械的特性です。
強度と剛性に優れていることはもちろん、高い耐衝撃性も保有しています。
耐熱性にも優れているため、高温での使用が想定されるエンジンなどの部品にも対応可能です。
軽量でかつ優れた機械的特性をもつカーボンファイバーは、金属の代替品として重宝されています。
表面が綺麗に仕上がる
カーボンファイバーフィラメントで製作した造形物は、樹脂などのほかのフィラメント材料で作られたものと比べると、積層跡が目立ちません。
そのため、全体的に表面が綺麗に仕上がる強みがあります。
カーボンファイバーの色身である黒を基調とした造形物が出来上がるため、シックな雰囲気の造形物を製作できます。
優れた寸法安定性
カーボンファイバーフィラメントの特性のひとつが、吸湿性の低さです。
吸湿性の高い材料を使用すると、造形後に水分を吸収して、サイズが変わってしまうことがあります。
カーボンファイバーの場合は、吸湿性が低いためサイズの変更が比較的少なくて済みます。
また強度が高いこともあり、反りや収縮にも強いのが特徴です。
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カーボンファイバーフィラメントの弱み
カーボンファイバーフィラメントを使って造形する前に、その弱みも頭に入れておきましょう。
ノズルが摩耗しやすい
カーボンファイバーフィラメントは、配合されている炭素繊維の固さがノズルに悪さをする場合があります。
真鍮などで作られた通常のノズルでは、炭素繊維でノズル自体が削られてしまい、摩耗してしまうのです。
カーボンファイバーフィラメントを使用する際には、硬化鋼などの専用ノズルを使用する必要があります。
ノズル詰まりが起こりやすい
カーボンファイバーフィラメントは、詰まりが起こりやすい素材です。
ノズル径が小さいノズルを用いると、詰まって使用できなくなるため、直径0.5mm以上の太めのノズルを用いるといいでしょう。
脆さのため薄くしにくい
カーボンファイバーフィラメントは、炭素繊維をナイロンやPETGなど別の素材に混ぜて作られています。
その分脆くなってしまうことがあります。
特に肉厚の薄い部分などの造形を行うと、その脆さからすぐに壊れてしまう場合もあるでしょう。
ある程度の厚みを確保すれば、脆さを補うことは可能です。
まとめ
カーボン3Dプリンターを使用すれば金属製にも負けない強度で、軽量な造形物を製作可能です。
難燃性という強みもあるため、航空宇宙産業、自動車産業、防衛産業など向けの部品を製作できます。
カーボン3Dプリンターを導入すれば、これまで以上に幅広い業界にアプローチできるでしょう。
弊社ではカーボン3Dプリンターの導入サポートを行っております。貴社の目的に合う機種を提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。