業務用3Dスキャナーの正しい選び方は?おすすめ機種5選と活用事例
医療、建築、建設業界など、さまざまな業界で3Dデータが扱われるようになりました。3Dスキャナーを使用すれば、人体や建築物、さまざまな製品などの3Dデータを短時間で手軽に取得できます。
このような理由で、業務用3Dスキャナーを導入する企業が増えている一方で、どのような利用用途があり、どんな機種を選べばよいかわからない方もいるでしょう。
この記事では、業務用3Dスキャナーの種類や選び方、おすすめの業務用3Dスキャナー4選を紹介します。3Dスキャナーの導入を検討されている方は、最後までご覧ください。
目次
業務用3Dスキャナーとは?
3Dスキャナーとは、スキャンしたい人や物体の表面をスキャンして、3Dデータを取得するための装置です。対象物に直接触れたり、照射した光やレーザーの反射光や形状変化から読み取ったりして、3Dデータを算出します。
特に業務用となると、高い精度と機能性を備えており、複雑な形状の物体や広範囲の測定にも対応可能です。取得した3Dデータは、CADデータ化や3Dプリンターでの出力、VRコンテンツへの活用などと、多様な用途で利用できます。
業務用3Dスキャナーの種類
業務用3Dスキャナーは、大きく分けて「接触方式」と「非接触方式」の2種類に分類されます。
接触方式の3Dスキャナー
接触式の3Dスキャナーは、対象物にプローブと呼ばれる測定子を接触させて形状を測定します。直接対象物に触れるため測定精度が高く、複雑な形状の物体でも正確に測定できる点がメリットです。
一方で、測定に時間がかかることや、測定対象物に傷をつける恐れがあるといったデメリットがあります。また、プローブが入り込めないほどの凹凸部分は測定できません。そのためスキャンしたいものの形状によっては、接触方式ではなく、非接触方式を選んだ方がうまく読み取れるでしょう。
非接触方式の3Dスキャナー
非接触式の3Dスキャナーは、光やレーザーを照射して対象物に触れずに形状を測定します。接触方式と比べると、測定速度が速いのが特徴です。
また、接触方式では入り込めない凹凸にも対応できたり、物体の温度が高すぎて近づけない場合でも測定できたりするのがメリットです。非接触式の3Dスキャナーは、さらに以下の2つの方式に分類されます。
光投影法
光投影法の3Dスキャナーは、対象物にパターン光を照射し、その歪みから形状を測定します。速い速度で正確なスキャンができるのがメリットですが、明るい場所だとパターン光が認識できないデメリットがあります。また測定精度は、次に説明するレーザー切断式に劣る点もデメリットです。
レーザー切断方式
対象物にレーザー光を照射し、その反射光から形状を測定するのがレーザー切断方式の3Dスキャナーです。反射光を受け取るまでのタイムラグがありますが、明るい場所でも高い精度で測定ができるメリットがあります。
業務用3Dスキャナーの選び方
実際に業務用3Dスキャナーを導入する際には、主に下記の4つのポイントに着目して、自社に最適な機種を選ぶと良いでしょう。
- 精度
- 測定速度
- 測定範囲
- 色の取得
各ポイントを具体的に解説します。
精度
3Dスキャナーの精度とは、実際の測定物の形状と測定結果がどれだけ正確に一致しているかを示した指標です。製品のカタログにも書かれており、一般的に、精度が高いほど高価になる傾向にあります。
ただし、カタログ値はあくまでもメーカー独自の環境で測定したものなので、実際には導入前にデモなどで確認した方が正確に把握できます。
測定速度
測定速度は、3Dスキャナーが1秒間に測定できるポイント数です。大量に測定しなければならない場合や、短時間で測定を終わらせなければならない場合には、測定速度が重要な判断基準となるでしょう。測定速度はカタログに数値が掲載されていますが、精度や解像度によって変化することもあります。
測定範囲
測定範囲とは、3Dスキャナーが測定できる対象物のサイズです。測定範囲が狭かったとしても、 取得したデータをつなぎ合わせると、大きなサイズの対象物も測定できます。
ただし、つなぎ合わせた部分に誤差が生じてしまう恐れがあります。そのため、測定対象物の大きさに合わせて、適切な測定範囲を持つ機種を選びましょう。
色の取得
3Dスキャナーのなかには、対象物の色の情報を取得できる機種もあります。製品デザインや文化財の記録など、色情報を必要とする場合は、色の取得にも対応した3Dスキャナーを選ぶようにしましょう。
おすすめの業務用3Dスキャナー5選
ここでは弊社おすすめの業務用3Dスキャナー5選を紹介します。業務用3Dスキャナーと一口に言っても機能や性能はさまざまです。各機種の性能を比較して、用途に合うものを選びましょう。
SCANTECH「IREAL 2E」
SCANTECH「IREAL 2E」は、広範囲で安全な赤外線を使用した3Dスキャナーです。最大580mm×550mmの広角視野角(FoV)を持つため、大型の対象物を測定するのに適しています。
また、720mmまでの深さでスキャンが可能なので、より自由な操作ができユーザーにとって使いやすい機種です。使用している光源はエネルギー消費が少なく、発熱が少ないため、長時間使用に耐えることができます。人体スキャンにも対応しています。
メーカー・製品名 | SCANTECH「IREAL 2E」 |
価格 | 498,000円(税込547,800円) |
精度 | 基本精度:最大0.1 mm位置合わせ精度:最大0.3 mm/m |
測定速度 | 最高速度:1,500,000点/秒 |
測定範囲 | 最大単一スキャンエリア:580x550mm |
色の取得 | 対応 |
公式ページ | IREAL 2E |
3DMakerpro「Whale(ホエール)」
3DMakerpro「Whale(ホエール)」は、洗練されたボディデザインの3Dスキャナーです。本体には物理ボタンが付いており、キーボードやマウスを使用する手間を省きます。
またカラーキットを購入すれば、複雑なカラーや質感の取得に対応します。わずか数秒で包括的な顔やその他の身体データを収集できるため、形成外科やリハビリテーションなど、手術前後の分析にも活用可能です。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Whale(ホエール)」 |
価格 | 500,000円(税込550,000円) |
精度 | マイクロレンズ:最大0.05mmマクロレンズ:最大0.1mm |
測定速度 | 400,000点/秒 |
測定範囲 | 15mm〜2,000mm |
色の取得 | 対応(要カラーキット) |
公式ページ | Whale |
SCANTECH「KSCAN-MAGIC」
SCANTECH「KSCAN-MAGIC」は、赤外線と青色レーザー技術を同時に統合したハイブリッドスキャン技術を世界で初めて導入した3Dスキャナーです。下記の5つのスキャンモードを標準装備し、自由に切り替えられます。
- 大面積スキャン
- 高速スキャン
- 精密スキャン
- 深穴スキャン
- 内蔵された大範囲グローバルフォトグラメトリ
スキャン面積の最大値は1440mm×860mmで、広範囲におよぶ対象物も簡単にスキャンできるのが特徴です。これだけ多機能かつ高性能でありながら軽量で持ち運びが容易なため、さまざまなニーズに応えられます。
メーカー・製品名 | SCANTECH「KSCAN-MAGIC」 |
価格 | 100万〜500万円 |
精度 | 0.020mm |
測定速度 | 2,700,000点/秒 |
測定範囲 | 1440mm×860mm |
色の取得 | – |
公式ページ | KSCAN-MAGIC |
SIMSCANシリーズ
SIMSCANシリーズは、「42」「30」「22」の3モデルがあり、搭載レーザー本数が多いほど高速スキャンが可能です。本体重量はわずか570gと軽量で、片手でも使用できます。
また、カメラ距離がわずか130mmであるため、狭い空間でも急角度の視野で、正確かつ完全なデータを捉えられます。自動化3Dスキャンシステムと連携すれば、中断せずに測定可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「SIMSCAN」 |
価格 | 100万〜500万円 |
精度 | 0.020mm |
測定速度 | 1,250,000~2,800,000点/秒 |
測定範囲 | 650mm×550mm~700mm×600mm |
色の取得 | – |
公式ページ | SIMSCAN |
SCANTECH「TRACKSCAN-Pシリーズ」
SCANTECH「TRACKSCAN-Pシリーズ」は、ハンディー型3Dスキャナーと光学式トラッカーで構成された光学トラッキング方式の3Dスキャンシステムです。プローブを対象物の表面に直接当てれば、高精度な形状データの取得もできます。
さらにM-TRACK光学式トラッカーを増設すれば、最大約16mまで測定範囲を拡張でき、自動車や航空機、船舶などの大型の対象物でも測定可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「TRACKSCAN-Pシリーズ」 |
価格 | 1,000万円以上 |
精度 | 0.025mm |
測定速度 | 2,200,000~2,600,000点/秒 |
測定範囲 | 500mm×600mm |
色の取得 | – |
公式ページ | TRACKSCAN-Pシリーズ |
おすすめの3Dスキャナーに関しては、下記のページも参考にしてください。
ハンディ型3Dスキャナーおすすめ11選!選び方や活用事例を紹介
【価格別】3Dスキャナーのおすすめ8選!安い価格で導入できるのはどれ?
個人におすすめの3Dスキャナー3選!選び方や個人で楽しめる活用事例を紹介
スマホで使える3Dスキャナーアプリと業務用3Dスキャナーを比較!
業務用3Dスキャナーの活用事例
業務用3Dスキャナーは、さまざまな分野で活用されています。
分野 | 主な活用事例 |
製造業 | 製品設計、金型製作、品質管理、リバースエンジニアリング |
建設業 | 土木測量、建築物モデリング、構造物検査 |
医療業界 | 義肢装具製作、手術シミュレーション、歯科治療 |
文化財保護 | 文化財のデジタルアーカイブ化、復元 |
エンターテイメント | ゲームキャラクターや映画のCG制作 |
3Dスキャナーがあれば、用途に応じてさまざまなもののデータを記録でき、上記のような分野において欠かせない存在となりつつあります。
3Dスキャナーの実際の活用事例は、下記のページをご覧ください。
まとめ
業務用3Dスキャナーは機種によって精度や測定速度、測定範囲など性能がさまざまです。そのため、業務用3Dスキャナーを導入する際は各機種の性能を比較しつつ、用途に合うものを選ぶことが大切です。
業務用3Dスキャナーの導入を検討している方は、今回紹介した5つのおすすめ機種をぜひ参考にしてください。弊社ではその他にも多数の3Dスキャナーを取り扱っています。ショールームでは実際に手に取って体感していただけるので、どれを導入しようか悩んでいる方はぜひご利用ください。