3Dスキャナー完全ガイド|選び方や活用方法を初心者にもわかりやすく解説
- 3Dスキャナー
- 2024.7.31
- SCANTECH 3DMakerpro メリット・デメリット
近年、立体物を読み取ってデータ化する3Dスキャナーは、個人でも手軽に購入できる価格帯の機種も発売され、身近なものになりました。
しかし「3Dスキャナーって実際何ができるの?」「種類が多くて選べない」「専門知識がないと使えなさそう…」と感じている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、3Dスキャナーの基本知識から選び方、活用方法までを初心者にもわかりやすく徹底解説します。
3Dスキャナー導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
3Dスキャナーの基本知識
3Dスキャナーとは、物体の表面形状をスキャンすることで、3Dデータを取得する装置です。
これまでは製造業などを中心に業務で使用される場面が多くありましたが、技術革新により低価格化・小型化が進み、近年では個人でも購入できる製品が増えています。
3Dスキャナーの原理
3Dスキャナーが3Dデータを取得する原理は、以下の通りです。
まず、アームやプローブなどを使用して直接測定物に触れる、もしくは光やレーザーなどを使い反射・透過・散乱などの信号を検出して測定物の座標データを計測します。
続いて、形状計測で得た情報をもとに解析を行い、物体の表面形状を点の集合体として処理します。
この手順を踏んで得られた3Dデータは、専用のソフトウェアを用いると立体的な3Dモデルとして表現可能です。
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代表的な3Dスキャナーの種類
代表的な3Dスキャナーの種類は、大きく下記の2つに分けられます。
- 接触式スキャナー
- 非接触式スキャナー
それぞれの特徴について、詳しく見ていきます。
接触式スキャナー
接触式スキャナーの「接触」とは、実際に測定物に触れるという意味です。
スキャナーに設置されたアームの先にセンサーやプローブが付いているので、実際に接触させて測定物の形状を測定します。
実際に測定物に触れるため、高精度の測定ができる一方で、プローブが入り込めない複雑な形状や狭い場所の測定には向きません。
また、スキャン速度が遅い傾向にあり、直接接触により対象物の表面に傷をつける可能性があります。
非接触式スキャナー
非接触式スキャナーは、接触式とは異なり測定物に触れずに形状を測定します。
光・レーザー・X線を用いて、その反射・透過・散乱などの信号を取得して座標データを計算して3Dデータに変換します。
接触式と比べてスキャン速度が速く、対象物の表面を傷つけない特徴があります。
ただし測定物の素材や形状によっては、光などが届かず測定できないケースもあります。
3Dスキャナーを使うならこれらが必要
3Dスキャナーを使用する際に用意するものは、主に下記のとおりです。
- 3Dスキャナー
- パソコン
- リバースエンジニアリングソフト・検査ソフト
- 3Dプリンター
それぞれ具体的にどういったものを選べばいいのか見ていきましょう。
3Dスキャナー
ここまでで説明したとおり、3Dスキャナーにはさまざまな種類があります。
下記のポイントを比較・検討して、自分にあった3Dスキャナーを選ぶといいでしょう。
- 測定する対象物の種類
- 測定する対象物の大きさ
- 3Dスキャナーの用途
- 3Dスキャナーの性能
- 3Dスキャナーの価格
また、初心者であれば装置の使いやすさやパソコンとの接続方法など、実際に使う場面を想定して選ぶことも重要です。
パソコン
3Dスキャナーで測定したデータは、主にパソコンで処理を行います。
スキャンした3Dデータは、容量が大きいためある程度高いスペックのパソコンが必要です。
3Dスキャンのなかには、推奨するスペックを記述している場合があるので、その情報を参考にパソコンを用意しましょう。
予算に余裕があるのであれば、推奨するスペックを上回る高性能なCPUや十分なメモリ容量、高速なSSDを搭載したパソコンを選べば、データ処理や編集がより快適にできます。
リバースエンジニアリングソフト・検査ソフト
リバースエンジニアリングソフトは、測定した3Dデータを補正し実用レベルの3Dデータを作成するソフトです。
検査ソフトは、3DCADの設計データをもとに測定データを比較し、品質検査を行う際に使用します。
このようなソフトを利用して、測定した3Dデータを精度の高い実用レベルのものに仕上げます。
メーカーや製品によっては専用のソフトウェアを用意しているケースもあるので、製品ページや説明書などを確認してみましょう。
3Dプリンター
3Dプリンターは、プラスチックや金属などの素材を用いて立体物を造形する装置です。
3Dスキャナーと組み合わせれば、ここまでで作成した3Dデータをもとに、実物そっくりの立体物を作れます。
実物さえあれば複製できるため、現物しかない部品や調達できなくなった部品を作成する際に有効です。
3Dスキャナーの選び方
実際に3Dスキャナーを選ぶ際には、下記の3点について注意しておくといいでしょう。
- 用途に適した機種の選択
- 3Dスキャナーに求めるスペック
- スキャン対象物の大きさ
それぞれについて詳細に解説します。
用途に適した機種
3Dスキャナーは、使用する用途によって選ぶべき機種は同じではありません。
例えば、実物をもとに複製品を作成するリバースエンジニアリングでは、欠落なく鮮明にスキャニングする必要があるため、高い精度が求められます。
検査が目的の場合には、許容誤差の最大寸法と最小寸法の差である公差がポイントとなります。
公差に厳しさを求められると、スキャナーで対応するのが難しくなります。
ただし公差にある程度ゆとりがある場合には、広範囲で複雑な形状の対象物をスピーディーに測定できるスキャナーのメリットを活かせます。
美術品などをデジタルアーカイブする際は、材料の質感とともに細かい形状を忠実に再現する必要があるため、高解像度でカラーに対応した機種が求められます。
このように実際の用途を想定して、最適な機種を選択してください。
スキャナーのスペック
主なスペックとしては、精度、解像度、スキャン速度、使いやすさがあります。
精度は測定の正確さを表し、解像度は形状の細かさを捉える能力を示します。
スキャン速度は作業効率に直結するため、大量の対象物をスキャンする場合は特に重要です。
また、使いやすさは長期的な運用を考える上で無視できない要素です。
このようなスペックをニーズに合わせて優先順位をつけ、バランスよく選ぶことが大切です。
スキャン対象物の大きさ
3Dスキャナーには、小さな対象物に適した機種と大きな対象物に適した機種があります。
主にスキャンする対象のサイズ範囲を事前に検討し、適した機種を選ぶことで、効率的なスキャン作業が可能です
例えば、小さな部品を主にスキャンする場合と、大型の建築物をスキャンする場合では、最適な機種が異なってきます。
業務用におすすめの3Dスキャナー
業務用におすすめの3Dスキャナーは下記のとおりです。
SCANTECH「IREAL 2E」
最大580mm×550mmの広角視野角(FoV)を持つSCANTECH「IREAL 2E」は、広範囲で安全な赤外線を使用するため、大型の対象物を測定するのに向いています。
720mmまでの深さでスキャンができるのも特徴で、ユーザーにとって使いやすい機種です。
人体スキャンにも対応しており、さまざまな場面での利用が想定されます。
メーカー・製品名 | SCANTECH「IREAL 2E」 |
価格 | 498,000円(税込547,800円) |
精度 | 基本精度:最大0.1 mm位置合わせ精度:最大0.3 mm/m |
スキャン速度 | 最高速度:1,500,000点/秒 |
測定範囲 | 最大単一スキャンエリア:580x550mm |
公式ページ | IREAL 2E |
3DMakerpro「Whale(ホエール)」
洗練されたボディデザインが特徴的な3DMakerpro「Whale(ホエール)」は、本体に付いている物理ボタンのおかげで、キーボードやマウスを使わなくても測定可能です。
また複雑なカラーや質感の取得に対応させたい場合には、別売りのカラーキットを購入すれば対応可能です。
数秒で包括的な顔やその他の身体データを取得できるため、形成外科やリハビリテーションなど医療の分野でも使用されています。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Whale(ホエール)」 |
価格 | 500,000円(税込550,000円) |
精度 | マイクロレンズ:最大0.05mmマクロレンズ:最大0.1mm |
スキャン速度 | 400,000点/秒 |
測定範囲 | 15mm〜2,000mm |
公式ページ | Whale |
SCANTECH「KSCAN-MAGIC」
赤外線と青色レーザー技術を同時に統合したハイブリッドスキャン技術を世界で初めて導入した3DスキャナーがSCANTECH「KSCAN-MAGIC」です。
大面積スキャンや高速スキャンなどの5つのスキャンモードを標準装備しており、さまざまな用途で利用できます。
多機能かつ高性能でありながら軽量で持ち運びしやすいのも特徴です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「KSCAN-MAGIC」 |
価格 | 100万〜500万円 |
精度 | 0.020mm |
スキャン速度 | 2,700,000点/秒 |
測定範囲 | 1440mm×860mm |
公式ページ | KSCAN-MAGIC |
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個人用におすすめの3Dスキャナー
個人用におすすめの3Dスキャナーは下記のとおりです。
3DMakerpro「Seal(シール)」
軽量でコンパクトサイズの3DMakerpro「Seal(シール)」は、0.01mmのスキャン精度と0.05mmの解像度を実現した3Dスキャナーです。
光学式の手ぶれ補正レンズにより、スムーズで連続的なスキャンを実現可能なので初心者に向いています。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Seal(シール)」 |
価格 | 89,000円(税込97,900円) |
精度 | 0.01mm |
スキャン速度 | 最大10fps |
測定範囲 | 100mm×75mm |
商品詳細 | Seal |
3DMakerpro「Mole(モール)」
誰でも簡単に3Dスキャンを楽しめるように開発されたのが3DMakerproシリーズの「Mole(モール)」です。
好きな場所に持ち運べるほどコンパクトなサイズなのが特徴です。0.05mmの精度と0.1mmの解像度を実現し、対象物の形状を高速で正確に測定可能できます。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Mole(モール)」 |
価格 | 90,000円(税込99,000円) |
精度 | 0.05mm |
スキャン速度 | 10fps |
対象範囲 | 200mmx100mm |
商品詳細 | Mole |
3DMakerpro「Lynx(リンクス)」
最大5mまでの大きな対象物も簡単にスキャンできる3DMakerproシリーズの「Lynx(リンクス)」は、0.10mmの精度と0.30mmの解像度により、正確で高精度なモデルも作成可能です。
モバイルバッテリー機能を使用すれば、スキャナーをスマートフォンに接続して屋外でも利用できます。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Lynx(リンクス)」 |
価格 | 95,000円(税込104,500円) |
精度 | 0.10mm |
スキャン速度 | 最大10fps |
対象範囲 | 250mm×400mm |
商品詳細 | Lynx |
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まとめ
本記事では、3Dスキャナーの基本知識から、使用する際に必要な機材、3Dスキャナーを選ぶさいのポイントについて解説しました。
また、おすすめの機種について、業務用、個人用にそれぞれ3機種ずつまとめています。
実際に購入を検討する際には、本記事の情報を参考にしつつ、使用感を確認してから購入することをおすすめします。
弊社のショールームでは実際に手に取って体感していただけますので、お気軽にご利用ください。