3Dプリンターの基礎知識!今さら聞けない使い方から造形方式まで
- 3Dプリンター
- 2024.11.15
- 造形方式
近頃は個人でも3Dプリンターで造形物を印刷する方が増えてきました。SNSで造形物を公開する方もいる一方で、3Dプリンターについてまったく知識がないという方もいるでしょう。本記事では、3Dプリンターの使い方からさまざまな造形方式まで、今さら聞けない基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。さらに、手頃な価格で高性能な3Dプリンターも紹介するので、本記事をきっかけに3Dプリンターの世界へ踏み出してみてください。
3Dプリンターとは?
3Dプリンターは、デジタルデータを使って立体的な造形物を作る装置です。素材を少しずつ重ねていくことで、三次元の造形物を作り上げます。使用する素材は樹脂や金属、セラミックスなどさまざまです。3Dプリンターの登場により、複雑な形や中が空洞になっているものも簡単に作れるようになりました。
3Dプリンターは、試作品の作成やカスタム部品の製造、医療機器、アート作品など、さまざまな分野で使われています。今では家庭用から業務用まで多くの種類があり、お子様でも手軽に利用可能です。
3Dプリンターは、アイデアを形にする新しい方法として、ものづくりの世界に大きな影響を与えています。
3Dプリンターを使う際に必要なもの
3Dプリンターを使う際には、プリンター以外にも必要なものがあります。代表的なものは以下のとおりです。
- パソコン:3Dデータの作成や編集、プリンターの操作に使用します。パソコンの代わりにタブレット端末で操作できる場合もあります。
- 3Dデータ作成ソフト:立体物のデータを設計するためのソフトです。初心者向けの無料ソフトから、プロ向けの有料のソフトまであります。
- スライスソフト:3Dデータを薄い層に分割し、プリンターが理解できる内容に変換するソフトです。多くの3Dプリンターに付属しています。
- STL修正ツール:3Dデータの不具合を修正するソフトです。綺麗に印刷するために重要です。
- 材料:プラスチックフィラメントやレジンなど、作りたいものに合わせて選びます。
これらを揃えることで、3Dプリンターを使った造形が可能になります。初めは難しく感じるかもしれませんが、少しずつ慣れていけば、自分のアイデアを形にする楽しさを味わえるでしょう。
フィラメントや素材、モデリングソフトについてさらに詳細な情報を知りたい方は、下記のリンク先もご覧ください。
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3Dプリンターの使い方
ここからは、実際に3Dプリンターを使う方法を5つのステップに沿って説明します。
- 3Dデータを作成する
- 3Dプリンター用のデータに変換する
- 3Dプリンターのセッティングを行う
- 3Dプリンターを動作させ造形する
- サポート材を除去して仕上げる
それぞれ順番に見ていきましょう。
Step1:3Dデータを作成する
まず、作りたいものの3Dデータを用意しましょう。初心者の方は、無料の3D設計ソフトの使用をおすすめします。最初は簡単な形状から始めて、徐々に複雑なものに挑戦していきましょう。データの作成が困難だという方は、無料でダウンロードできる3Dモデルを活用してみてください。
3Dデータをダウンロードして使用する方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
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Step2:3Dプリンター用のデータに変換する
次に、作成した3Dデータを、3Dプリンターが理解できる形式に変換します。この作業を「スライス」と呼びます。スライスソフトを使用し、3Dモデルを薄い層に分割し、プリンターの動作指示に変換しましょう。この段階で、印刷の細かい設定(層の厚さ、充填率など)も行います。最初は、3Dプリンターに付属している専用のスライスソフトを使用すればいいでしょう。
Step3:3Dプリンターのセッティングを行う
印刷に必要なデータが準備できれば、プリンターの電源を入れ、3Dプリンターのセッティングを行います。材料(フィラメントや樹脂)をセットし、造形スペースのプラットフォームが水平になるよう調整します。ノズルとプラットフォームの距離の調節も忘れてはいけません。精度の高い印刷を行うには、丁寧なセッティング作業が求められます。
Step4:3Dプリンターを動作させ造形する
セッティングが完了したら、スライスしたデータをプリンターに送信して印刷スタートです。プリンターは設定に従って、一層ずつ材料を積み重ねていきます。この過程は数時間かかることもあるので、途中で材料切れにならないよう注意しましょう。印刷中はプリンターから離れても構いませんが、時々様子を確認することをおすすめします。
Step5:サポート材を除去して仕上げる
印刷が完了したら、造形物をプラットフォームから慎重に取り外します。複雑な形状の場合、サポート材(印刷時の支え)が付いているため、ペンチや専用の工具で丁寧に取り除かなければなりません。必要に応じて、やすりがけや塗装を行って仕上げましょう。これで、あなたのオリジナル3D作品の完成です。
造形にかかる時間はどれくらい?
3Dプリンターでの造形時間は、作るものの大きさや複雑さ、使用する材料、プリンターの性能などによって大きく変わります。
たとえば、キーホルダーのような小さな物なら30分程度で完成することもありますが、スマートフォンケースのような大きさだと数時間かかることも珍しくありません。さらに複雑な形状や高品質な仕上がりを求める場合や、業務用の部品になると、1日以上かかることもあります。
初心者の方は、最初は小さくて単純な形状のものから始めるのがおすすめです。これにより、プリンターの動作や造形時間の感覚をつかむことができるでしょう。また、3Dプリンターソフトウェアが表示する予測時間も参考になります。事前に所要時間を把握できるため、効率的に作業を進められます。
3Dプリンターの造形方式
ここからは3Dプリンターの造形方式について解説します。代表的な造形方式は以下のとおりです。
- 熱溶解積層方式
- 光造形方式
- インクジェット方式
- バインダージェット方式
- 粉末焼結方式
それぞれの特徴と作れるものについて、順番に見ていきましょう。
なお、各方式についての詳細な情報は、以下の記事にもまとめています。是非こちらもご覧ください。
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熱溶解積層方式の3Dプリンター
熱溶解積層方式(FDM)は、3Dプリンターで最も一般的に使用されている技術です。プラスチックフィラメントを熱で溶かし、層を積み重ねて造形します。比較的安価で、家庭用からプロ用まで幅広く使われています。操作も簡単で、メンテナンスも容易です。ただし、表面が少し粗くなる傾向があります。
熱溶解積層方式で作れるもの
試作品、おもちゃ、日用品パーツなど、幅広い用途に適しています。一定の強度が求められる機能的な部品にも対応可能です。大きなサイズの造形も可能で、建築模型やコスプレの小道具などにも人気です。ただし、ディティールや滑らかな表面が必要なものには不向きです。
光造形方式の3Dプリンター
光造形方式(SLA/DLP)は、液体樹脂を光で硬化させて層を作ります。非常に高精度で滑らかな表面仕上がりが特徴です。ただし、材料や装置が比較的高価で、造形サイズにも制限があります。また、造形後の後処理(洗浄や追加の硬化)が必要です。
光造形方式で作れるもの
精密な模型、ジュエリー、歯科用の型、精密機械部品などに適しています。特に、細かいディテールが必要なフィギュアや建築模型に有効です。医療分野では、カスタムメイドの補聴器や歯科用クラウンなども作られています。
インクジェット方式の3Dプリンター
インクジェット方式は、液体の樹脂や結合剤を噴射して層を作ります。複数の材料や色を同時に使用でき、フルカラーの造形も可能です。ただ、噴射された液滴の大きさに限界があるため、造形精度はほかの方式と比較すると低い傾向にあります。
インクジェット方式で作れるもの
リアルな質感のフィギュア、建築模型、製品デザインの試作品などに用いられています。特に、複数の色や材質を組み合わせたものや、グラデーションのある造形物が得意です。医療分野では、臓器モデルなども作られています。
バインダージェット方式の3Dプリンター
バインダージェット方式は、粉末材料の上に接着剤を吹き付けて層を作ります。ほかの方式と比較すると、造形速度が速いのが特徴です。ただし、造形物の強度がやや弱く、素材の種類によっては、焼結などの工程が必要となる場合もあります。
バインダージェット方式で作れるもの
建築模型、地形模型、アートオブジェクト、教育用の立体教材などで有効です。また、砂型鋳造の型を直接作ることもできるため、金属加工の分野でも活用されています。
粉末焼結方式の3Dプリンター
粉末焼結方式(SLS/DMLS)は、粉末材料をレーザーで焼結または溶融させて層を作ります。金属やナイロンなど、さまざまな材料が使え、高強度の部品が製作可能です。サポート材が不要で複雑な形状にも対応可能ですが、装置が高価で、後処理に手間がかかります。
粉末焼結方式で作れるもの
機能的な機械部品、航空宇宙部品、医療用インプラント、カスタムジュエリーなどに適しています。特に、複雑な内部構造を持つ軽量で強度の高い部品を作るのに有効です。また、少量生産の金属部品製造にも活用されています。
10万円以下で手に入る高性能3Dプリンター
ここまでの内容を読み、実際に3Dプリンターを使用したくなった方もいるのではないでしょうか。ここでは初心者の方でも使いやすい「10万円以下で手に入る高性能3Dプリンター」を紹介します。
FLASHFORGE「Adventurer5M」
FLASHFORGE「Adventurer5M」は、初心者にも扱いやすい3Dプリンターです。コンパクトなサイズでデスクトップに置きやすく、組み立てや複雑な調整が一切不要で、簡単な操作で使いこなせます。
FlashPrint機能を活用すれば、リモートでのマルチデバイス制御、印刷分類管理、印刷中のプロセスをリアルタイムでのモニタリングが可能となります。初めての3Dプリンター導入を考えている方におすすめの機種といえるでしょう。
メーカー・製品名 | FLASHFORGE「Adventurer5M」 |
価格 | 55,000円(税込60,500円) |
商品詳細 | 公式ページ |
FLASHFORGE「Adventurer5M Pro」
FLASHFORGE「Adventurer5M Pro」は、「Adventurer5M」の上位モデルで、より高度な機能を備えています。高速印刷が可能で作業時間を短縮でき、220×220×220mmの大きな造形サイズで大型作品の制作にも対応します。
高温に対応したノズルにより、多様な材料が使用可能です。本格的な3D印刷を行いたい方や、大きな作品を作りたい方におすすめのモデルです。
メーカー・製品名 | FLASHFORGE「Adventurer5M Pro」 |
価格 | 77,000円(税込84,700円) |
商品詳細 | 公式ページ |
まとめ
本記事では、初心者の方に向けて3Dプリンターの基礎知識をまとめました。3Dプリンターの使い方から造形方式まで、さらには10万円以下のおすすめの機種も紹介しています。3Dプリンターに関して、今さら人に聞けないという方は、本記事を参考になさってください。
今後も3Dプリンターの技術は向上し、さまざまな場面で使用されるようになるでしょう。今からでも遅くはありません。3Dプリンターを手に入れて、ご自身の想像力を立体物作成へと生かしてください。