3Dプリンターの種類は?造形方式別の特徴・メリット・デメリットを解説
- 3Dプリンター
- 2024.2.21
- メリット・デメリット 造形方式
3Dプリンターには種類がさまざまあり、造形方式によって造形物の完成度は大きく異なります。
そのため種類別の特徴を理解しないまま導入すると、理想的な造形物を作り出せず、後悔してしまう恐れがあります。
この記事では、3Dプリンターの種類別の特徴やメリット・デメリット、家庭用・業務用3Dプリンターの違いなどを解説します。
3Dプリンターの導入を検討している方やどのようなものなのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
3Dプリンターの造形方式の種類比較表
造形方式の種類別の3Dプリンターの性能は、下記の表のとおりです。
強度 | 造形速度 | 精度 | |
熱溶解積層方式 | ◯ | △ | × |
光造形方式 | △ | △ | ◯ |
インクジェット方式 | △ | △ | ◯ |
粉末焼結方式 | ◎ | 金属:× / 樹脂:△ | × |
粉末固着方式 | × | ◎ | × |
こちらの表のように、造形方式によってそれぞれメリット、デメリットが存在します。
それでは、メリット、デメリットを分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで読んでください。
3Dプリンターの造形方式の種類
3Dプリンターは、材料を一層ずつ積み重ねて造形する点でどれも同じです。
しかし、積み重ねの方法によって、大きく下記の5つの種類に分かれています。
- 熱溶解積層方式
- 光造形方式
- インクジェット方式
- 粉末焼結方式
- 粉末固着方式
ここでは、3Dプリンターの造形方式ごとの特徴やメリット・デメリットを紹介します。
熱溶解積層方式
熱溶解積層方式は、3Dプリンターで造形する際に熱で材料を溶かして、設計通りに積み上げて造形する方法です。
別名、FDM方式やFFF方式とも呼ばれています。
2009年に特許期限が切れて、現在は手に取りやすい価格になりました。
材料も低価格のフィラメントを使用できることから、家庭用3Dプリンターでは熱溶解積層方式が主流になっています。
熱溶解積層方式のメリット
熱溶解積層方式の3Dプリンターを導入するメリットは、主に下記の4つです。
- 導入コストが安い
- 小型で場所と取らない
- 材料・カラーの選択肢が多い
- 強度に優れている
先述した通り熱溶解積層方式は低価格で、安いものは10万円以下でも手に入ります。
また、3Dプリンターのサイズはコンパクトなものが多く、デスクや棚の上にも設置可能です。
機種によって使用できる材料やカラーの種類は異なりますが、基本的に選択肢が多く、創り出された造形物の完成度も高いでしょう。
剛性や硬度、耐衝撃性、耐熱性などに優れたABS樹脂を使用できるため、強度が高いものも造形できます。
熱溶解積層方式のデメリット
熱溶解積層方式のデメリットは、下記の3つです。
- 細かい質感を表現できない
- 層と層がもろい
- サポート際の除去に手間がかかる
熱溶解積層方式は熱で溶かしたフィラメントを積み上げて造形するため、シンプルなものしか作れず、細かい質感は表現できません。
また、層と層がもろくて強い衝撃を与えると壊れてしまうこともあり、実製品には使えないケースもあります。
熱溶解積層方式でおすすめの3Dプリンター
熱溶解積層方式3Dプリンターは、弊社でも低価格なモデルから高性能な業務用モデルまで幅広く取り扱っております。
ぜひ製品をチェックしてくださいね。
光造形方式
光造形方式は、3Dプリンターの造形方式の中で最も長く使われてきた方法です。
「SLA方式」「LCD方式」「DLP方式」などと言われることもあります。
液状の樹脂に紫外線を当てて樹脂が硬化する流れを繰り返すことで、立体的な造形物を作り上げます。
光造形方式のメリット
光造形方式のメリットは、主に下記の3つです。
- 造形物の精度が高い
- 滑らかな質感に仕上げられる
- 透明度の高いモデルも造形できる
光造形方式は液体樹脂を使用しているので、表面が滑らかで精度の高いモデルを造形できます。
ナチュラルカラーのレジンを使って研磨やトップコートを施すと、透明度の高い造形物も再現可能です。
光造形方式のデメリット
光造形方式のデメリットは、下記の3つです。
- サポート材を除去しなければいけない
- 太陽光に長時間当たると変形・割れが発生する
- 造形物によっては洗浄・二次硬化しなければいけない
光造形方式で3Dプリントする際は、サポート材が欠かせません。
そのため、できあがったあとはサポート際を除去する必要があります。
また、光造形方式で造形したモデルは耐候性がないため、太陽光に長時間当たると変形や割れ、変色が起こる点も弱点です。
インクジェット方式
インクジェット方式は、インクジェットヘッドから噴射した樹脂を紫外線で固めながら積み上げていき、造形物を作り上げる方式です。
2Dのインクジェットプリンターに似ていることから、このように呼ばれています。
インクジェット方式のメリット
インクジェット方式のメリットは、下記の3つです。
- 繊細で滑らかな表面に仕上げられる
- 配合次第でさまざまな色を表現できる
- 複数の材料を同時に扱える
インクジェット方式は液体を噴射して造形するため、表面が滑らかで、解像度の高いカラーの造形物を表現できます。
また、複数の材料を同時に使えるため、ゴムの質感を再現したり、皮革や布などの生地に3Dプリントしたりすることも可能です。
インクジェット方式のデメリット
インクジェット方式には、下記の3つのデメリットもあります。
- 耐久性が弱い
- 直射日光が当たると劣化する
- 稼働音が大きく、サポート材の匂いがきつい
アクリル系樹脂を使用するため耐久性が弱く、力を加えると壊れることがあります。
また、紫外線が当たると硬化する性質があり、長期的に使用するのに向いていません。
粉末焼結方式
粉末焼結方式はパウダーヘッドと呼ばれる高出力のレーザー光線で、粉末状の材料を照射して焼結させる方式です。
SLSとも呼ばれています。
粉末焼結方式ではナイロンを材料として使うのが一般的ですが、金属も取り扱えます。
粉末焼結方式のメリット
粉末焼結方式のメリットは、下記の3つです。
- 複雑な造形にも対応できる
- 耐久性が高い
- 3Dプリント時にサポート材が必要ない
粉末焼結方式による造形物は、他の方式に比べて耐久性に優れています。
また、サポート材が必要ないため、造形後にサポート材を取り除く手間がかかりません。
粉末焼結方式のデメリット
粉末焼結方式のデメリットは、下記の2つです。
- 造形物の表面がザラザラしている
- 3Dプリンターの装置自体が大きい
造形物の表面が粉っぽくなるため、滑らかな質感を求める場合はインクジェット方式の方がおすすめです。
また、装置自体が大きいため、導入する場合は事前に設置場所を確保する必要があります。
粉末固着方式
粉末固着方式は、石膏などの粉末を敷いた上にプリンタヘッドから吐出した液体接着材で固めていって造形する方式です。
粉末固着方式のメリット
粉末固着方式は、フルカラーで造形できる点がメリットです。
そのため、色の表現が難しい人物フィギュアや建築モデルの造形に利用されています。
粉末固着方式のデメリット
粉末固着方式のデメリットは、造形物がもろくて割れやすいところです。
材料が石膏のため精度が低く、造形物の表面はザラザラしています。
また、粉末の処理が大変な点も弱点です。
家庭用・業務用3Dプリンターの違い
3Dプリンターは造形方式だけでなく、家庭用・業務用でも種類が分けられます。
ここでは家庭用3Dプリンターと業務用3Dプリンターの違いを見ていきましょう。
価格
家庭用と業務用を比較すると、家庭用の方が安価で購入できます。安い機種だと数万円から購入でき、フィラメントも低価格です。
一方で、業務用3Dプリンターの価格は数十万円から高いものだと1,000万円を超えるものもあります。
フィラメントも家庭用3Dプリンターで使用されるものと比較すると高額ですが、安定して造形できるのが特徴です。
こちらのページでは、家庭用・業務用3Dプリンターを価格別に紹介していますので、あわせて参考にしてください。
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機能・精度
家庭用の3Dプリンターに比べると、業務用3Dプリンターは機能が充実しています。
家庭用は基本的な機能がそろっているだけで、微調整する項目はありません。
一方で、業務用は機能が豊富で、微調整できる設定や便利な機能が備わっているため、正確にモデルを造形できます。
そのため、造形物は業務用3Dプリンターの方が高精度です。
業務用3Dプリンターはこちらの記事でも紹介しているので、参考にしてくださいね。
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3Dプリンターの仕組み
3Dプリンターは基本的に、3Dデータをもとに何もない空間(ステージ)にフィラメントと呼ばれる材料を1層ずつ積み重ねて、立体物を造形する仕組みです。3Dプリンターは下記の流れで造形します。
- 3Dプリントしたいデータを作成する
- STLデータに変換して造形を確認する
- 造形設定をして3Dプリントを実行する
- 造形物を取り出して仕上げ処理をする
3Dプリントする際は、3Dプリンターで出力するための専用形式である「STL形式」に変換しなければいけません。
そして、STLデータをもとに、3Dプリンターを動かすための設定を行います。
3Dプリンターは造形方式によってさまざまな種類がありますが、このような造形の流れは基本的に同じです。
3Dプリンターに種類に関してよくある質問
3Dプリンターの種類に関してよくある質問をまとめました。
FFFとFDMの違いは何ですか?
FFF(フィラメント溶解製法)とFDM(熱溶解積層法)は、基本的には同じ造形方式を指します。
製造・販売しているメーカーや一般名称、商標が異なるだけです。
3Dプリンターを使うには何が必要ですか?
3Dプリンターを使うのに最低限必要なものは、下記の5つです。
- パソコン
- 3D CADソフト
- スライスソフト
- 3Dプリンター
- 素材(フィラメント・レジン等)
上記を用意したうえで、3Dプリントしたいモデルを用意すれば造形できます。
こ3Dプリンターの材料として欠かせないフィラメントに関しては、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
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まとめ
3Dプリンターは造形方式の種類によって、使用できる材料や仕上がりの精度は異なります。
3Dプリンターを導入する際は、目的や造形物の仕上がり、価格などを比較検討して最適なものを選びましょう。
弊社はコストパフォーマンスの良い3Dプリンターや高性能な業務用3Dプリンターなど、幅広い製品を取り扱っております。
3Dプリンターの導入をお考えの方には、貴社の目的に合った機器を提案しておりますので、お気軽にお問い合わせください。