3Dプリンターで作れるものは?家庭用から医療用まで5ジャンルで徹底解説
- 3Dプリンター
- 2024.8.9
近年、家庭用から業務用や医療用まで、幅広いジャンルで活用されているのが3Dプリンターです。手軽に立体の造形物を作れるため、「どんなものが作れるのか?」「自分にも使いこなせるのか?」と興味を持っている人もいるのではないでしょうか。
3Dプリンターで作れるものは、あなたのアイデア次第。素材もプラスチックだけでなく、金属やセラミックなどさまざまな種類に対応しています。本記事では、3Dプリンターで作れるものを、家庭用、便利グッズ、美術用、業務用、医療用の5つのジャンルに分けて詳しく解説します。3Dプリンターで何か作りたいと考えている人は、最後までご覧ください。
目次
3Dプリンターで作れるもの・作れないもの
まずは3Dプリンターで作れるものと作れないものについてまとめます。
作れるもの
3Dプリンターで作れるものは、その技術の進化と共に日々拡大しています。従来はプラスチック素材が主流でしたが、現在では金属、セラミック、樹脂、さらには食品までもが造形可能です。
さらに、近年ではバイオプリンティングと呼ばれる技術も発展しており、細胞や組織を3Dプリンターで出力することで、再生医療への応用も期待されています。また、巨大な3Dプリンターを用いて作られる住宅も販売されています。
このように、3Dプリンターは私たちの生活のさまざまな場面で、革新的な変化をもたらす可能性を秘めています。
作れないもの
用いる素材次第で、何でも作れるように思える3Dプリンターでも、作れないものが存在します。3Dプリンターには造形サイズに制限があるため、家庭用の場合は数十センチ程度、業務用でも1メートルを超える造形物を作るのは困難です。
また、過度に複雑な内部構造を持つものや、非常に精緻な加工が必要なものも難しいでしょう。3Dプリンターは積層方式で造形するため、微細な部分の再現は実現できない場合もあります。
ただ、これらの制限は、技術の進歩によって将来的には克服される可能性もあります。とはいえ、現時点では3Dプリンターが作れるもの・作れないものを理解した上で活用することが重要です。
各ジャンルにおける3Dプリンターで作れるもの
では具体的に5つのジャンルに分けて3Dプリンターで作れるものを見ていきましょう。
家庭用に3Dプリンターで作れるもの
家庭用に3Dプリンターで作れるもののうち、代表的なものを4つ紹介します。
フィギュア
3Dプリンターを使えば、自分だけのオリジナルフィギュアを制作できます。好きなキャラクターをモデリングしたり、自分でデザインしたキャラクターを形にしたり、創作の幅は無限大です。
インターネット上には、無料でダウンロードできる3Dデータも豊富に公開されているため、モデリングが苦手な方でも気軽にフィギュア制作を楽しむことができます。また、3Dプリンターで出力したフィギュアに塗装を施せば、さらにクオリティの高い作品に仕上げることも可能です。
プラモデル
3Dプリンターは、プラモデル制作にも有効です。市販されていないパーツや、破損したパーツを自作したり、オリジナルの改造パーツを作成したりすることで、より自分好みのプラモデルに仕上げることが可能です。
もちろん、自分でデザインしたオリジナルのメカやロボットなどをプラモデルとして制作することもできます。従来のプラモデルでは実現できなかった形状や、ディテールを再現できるのも3Dプリンターの魅力です。
アクセサリー
世界に一つだけのオリジナルアクセサリーを制作したい人に、3Dプリンターは有効です。指輪やネックレス、ピアスなど、さまざまな種類のアクセサリーをデザインし、3Dプリンターで出力することで、個性的なアクセサリーを身につけることができます。
また、素材にこだわったり、3Dプリンターで出力したアクセサリーに、ビーズや宝石などを装飾したりすれば、さらにオリジナリティの高い作品に仕上げることも可能です。
インテリアグッズ
部屋の雰囲気に合ったインテリアグッズが見つからない場合は、3Dプリンターでオリジナルのインテリアグッズを制作するのがおすすめです。例えば、花瓶や小物入れ、フォトフレームなど、様々な種類のインテリアグッズをデザインし、3Dプリンターで制作すれば、自分だけの空間を演出することができます。
また、さらに個性的な作品に仕上げたい場合は、3Dプリンターで出力したインテリアグッズに、塗装や装飾を施すといいでしょう。
便利グッズとして3Dプリンターで作れるもの
オフィスやデスク周りで使うような便利グッズも、3Dプリンターで作れるものの代表例です。ここでは2つ紹介します。
名刺立て
ありそうでなかった、自分だけのオリジナル名刺立てを3Dプリンターで作成できます。シンプルなものから、個性的なデザインのものまで、アイデア次第でさまざまな名刺立てをデザインできます。会社名やロゴを入れた名刺立てを作成すれば、ビジネスシーンでも活躍すること間違いなしです。
3Dプリンターがあれば、既製品では見つからない、機能性とデザイン性を兼ね備えた名刺立てを手に入れることができます。
電池ケース
オフィスでも家でも電池は、意外と収納場所に困るものです。3Dプリンターを使えば、使いたい電池の種類や数に合わせた、最適なサイズの電池ケースを自作することができます。
引き出しの中に収納しやすいように、薄型でコンパクトな形状にしたり、持ち運びしやすいように、蓋付きのケースにしたりと、自分の使い方に合わせたカスタマイズが可能です。電池の種類ごとに色分けしたケースを作成すれば、見た目にもわかりやすく、整理整頓にも役立つでしょう。
美術用に3Dプリンターで作れるもの
美術の世界でも3Dプリンターは活躍しています。作れるもののうち2つに注目して紹介します。
美術品のレプリカ
3Dプリンターは、美術品の精巧なレプリカを作成するのに最適なツールです。オリジナルの美術品を3Dスキャンし、作られた3Dデータを用いることで、その形状や質感を忠実に再現したレプリカを作成できます。
これにより、貴重な美術品に直接触れることなく、細部まで観察したり、教育目的で活用したりすることが可能です。またサイズを変えて印刷することもできるので、ミニチュアを作成する場合にも役立ちます。
古美術作品の修復部材
古美術品の修復作業においても3Dプリンターは重要な役割を果たしています。破損した部分の形状を3Dスキャンし、欠損部分を補うための部材を3Dプリンターで出力すれば、元の形状に忠実に修復することが可能です。
特に、さまざまな装飾が施された古美術品の修復には、3Dプリンターの精度が大きな力を発揮します。素材も、オリジナルの美術品に合わせて選択することができるため、より自然な修復が可能となります。
業務用に3Dプリンターで作れるもの
3Dプリンターが作れるものは業務用でも存在します。そのうちの3つを見ていきます。
試作品
製品を開発する際に、試作品を作成して現場で確認することがあります。これまでは時間と費用をかけて試作品を作成していましたが、3Dプリンターを使えば、低コストかつ短納期で制作可能です。その分、さまざまなパターンで試作できるため、全体の開発期間の短縮とコスト削減にも貢献します。
3Dデータを変更するだけで、修正も容易に行えるため、試行錯誤を繰り返しながら、より完成度の高い製品の開発につながります。
部品・パーツ
3Dプリンターを使えば、必要な部品やパーツを要望に合わせて製造可能です。必要な時に必要な量だけを製造できるため、従来のように大量生産による在庫を抱える必要がなくなります。その結果、在庫管理コストの削減と無駄の排除を実現します。
また、特殊な形状や素材の部品も製造できるため、これまで製造が難しかった部品の製作も可能となります。
工具
作業現場で必要な工具も3Dプリンターがあれば、カスタマイズして作成することができます。特定の作業に特化した形状の工具や、既存の工具では届かない場所のための特殊な工具など、用途に合わせて自由にデザイン可能です。
また、3Dプリンターを使えば、破損した工具の代替品をすぐに作成することもできるため、作業効率の向上とコスト削減に貢献し、現場のニーズに応えることができます。
下記のページでは、企業別の3Dプリンターの活用事例を紹介しているので、あわせてご覧ください。
医療用に3Dプリンターで作れるもの
医療の場面でも、3Dプリンターが作れるものが用いられる場面が増えてきました。下記の3つを取り上げて解説します。
人体模型
3Dプリンターは、患者のCTやMRIデータから、精巧な人体模型を作成することができます。これにより、手術前に患部の状態を立体的に把握することができ、手術の精度向上やリスク軽減につながります。
また、手術のシミュレーションにも活用できるため、医療従事者のトレーニングにも有益です。さらに患者個別の臓器や骨格の模型を作成すれば、より的確な診断と治療計画の立案に役立ちます。
義手・義足
従来の義手・義足よりも軽量で、より自然な動きを実現する、革新的な義肢の開発に3Dプリンターは役立っています。患者の体に合わせてカスタマイズされた義肢を、3Dプリンターで製造すれば、装着感や機能性の向上につながります。
また、従来の義肢よりも低コストで製造できる場合もあるため、より多くの人に高品質な義肢を届けることができるでしょう。
歯列模型
歯科医療においても、3Dプリンターは広く活用されています。患者の歯型データから、正確な歯列模型を3Dプリンターで出力すれば、より精密な治療計画の立案や、矯正装置の作製に有効です。
また、インプラント治療においても、顎骨の形状を正確に再現した模型を用いることで、より安全で確実な手術を行うことができます。
弊社で3Dプリンターを使って作った作品事例は、下記の記事もあわせて参考にしてくださいね。
3Dプリンターの作品例&アイデア集20選!簡単なものから上級者向けまで紹介
3Dプリンターで作れるもの考慮する際によくある質問
ここからは、3Dプリンターで作れるものを考慮する際によくある3つの質問について解説します。
どのくらいの大きさのものが造形できますか?
3Dプリンターで造形できる大きさは、機種によって異なります。家庭用3Dプリンターの場合、一般的に数十センチ程度のものが主流です。業務用になると、1メートルを超える大型の造形が可能な機種も存在します。
ただし、造形サイズが大きくなるほど、価格も高額になる傾向があります。そのため、どのような大きさのものを作りたいのかを事前に明確にして、適切な機種を選ぶことが重要です。
どのような素材のものが作れますか?
3Dプリンターでよく使用される素材は、ABS樹脂やPLA樹脂などのプラスチック素材です。その他にも、ナイロン、ポリカーボネート、金属、セラミックなど、さまざまな素材のものが作れます。
素材によって、強度や耐熱性、柔軟性などが異なるため、用途に合わせて適切な素材を選択しましょう。
色付きのものは作れますか?
最初から色付きの素材を用いれば、3Dプリンターで色付きのものが作れます。複数の色の素材を組み合わせて造形できる機種を使えば、フルカラーの造形も可能です。
まとめ
本記事では、3Dプリンターで作れるものを、家庭用から医療用まで幅広く紹介しました。フィギュアやアクセサリーのような趣味のアイテムから、試作品や医療用模型まで、その可能性は実に多岐にわたります。
3Dプリンターは、アイデア次第で、私たちの生活をより豊かに、そして便利にする力を持っています。この記事を参考に、3Dプリンターの可能性を探求してみてはいかがでしょうか。