3Dプリンターの値段は? 家庭用・業務用に分けて解説 本体以外の費用にも注目
- 3Dプリンター
- 2024.8.29
3Dプリンターが普及し、家庭でも企業でも手軽にものづくりができる時代になりました。しかし、いざ購入を検討するとなると「一体どれくらいの値段がかかるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
3Dプリンターの値段は、本体の値段だけでなく、材料費やソフトウェア、メンテナンス費用など、ランニングコストも考慮しなければなりません。そこで本記事では、家庭用・業務用の3Dプリンターの価格相場を詳しく解説し、本体価格以外にかかる費用についてもご紹介します。
3Dプリンターの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
3Dプリンターはどれくらいの値段で買える?
3Dプリンターの価格は性能によって幅があります。3Dプリンターを大きく分類すると家庭用と業務用に分けられますが、比較すると業務用の方が高性能で値段も高価です。
ここでは3Dプリンターがどれくらいの値段で買えるのか、家庭用と業務用に分けて紹介します。
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家庭用の場合
家庭用3Dプリンターの値段は、数万円から数十万円と幅広い価格帯で販売されています。エントリーモデルであれば、2万円代から購入できるものもあり、手軽に3Dプリントを始めたい初心者の方におすすめです。
5万円〜10万円台のモデルになると、造形精度や印刷速度が向上し、より高品質な出力物が期待できます。さらに10万円以上の製品は、多様なフィラメントに対応していたり、大型の造形ができたりするなど、より高度な機能が搭載されているのが特徴です。
3Dプリンターを選ぶ際は値段だけで判断するのではなく、必要な機能や性能を考慮することが大切です。例えば、単純な形状のオブジェを作りたい場合は、エントリーモデルでも十分に対応できます。しかし、より複雑な形状や精度の高い造形物を作りたい場合は、値段にすると5万円以上の、家庭用3Dプリンターの中でも高性能なモデルを選ぶといいでしょう。
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業務用の場合
業務用3Dプリンターは、家庭用よりも高性能・高機能であるため、値段は数十万円から数百万円です。なかには高性能なタイプだと数千万円に達する製品もあります。用途や必要な精度、出力サイズによって価格が大きく変動するため、導入前に必要なスペックを明確にしておきましょう。
数十万円〜百万円程度のモデルは、比較的小規模なオフィスや教育機関などで導入されており、製品のプロトタイプ作成や教育用途に適しています。数百万〜数千万円のハイエンドモデルは、工業製品の製造や医療分野など、高い精度と耐久性が求められる現場で活躍しています。
高額な投資となるため、導入前に複数のメーカーから見積もりを取り、デモ機で実際に試してみるなど、慎重に検討することをおすすめします。
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3Dプリンター以外に必要なものの値段
3Dプリンターを使用する際には、製品以外にも費用がかかります。それぞれの値段について解説します。
フィラメントなどの材料費
3Dプリンターで造形を行うには、フィラメントなどの素材が必要です。フィラメントの値段は素材の種類や色、メーカーによってさまざまですが、一般的なPLAフィラメントであれば、1kgあたり2,000円〜5,000円程度です。一方で金属素材を使う場合は、材料費はもちろんのこと、3Dプリンター本体の費用も高くなる傾向があります。
使用頻度や造形物のサイズによって消費量は異なるものの、材料費はランニングコストとして常に発生する点を忘れてはいけません。特殊な素材や高品質なフィラメントを使用する際には、さらに費用はかさんでしまいます。
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後処理などで使用する溶剤
3Dプリンターの造形物によっては、サポート材の除去や表面の仕上げなどを行わなければならない場合があります。この際、後処理用の溶剤が必要です。溶剤の値段は、種類や量によって異なりますが、数百円から数千円程度で購入できます。
例えば、PLAフィラメントのサポート材に用いられる水溶性のPVAフィラメントであれば、水に浸けることで簡単に溶解することが可能です。一方で、ABSフィラメントのサポート材にはアセトンなどの有機溶剤が必要となります。材質によって適切な溶剤が異なるので、事前に確認しましょう。
3Dプリンターの消耗品
3Dプリンター本体以外にも、下記のような定期的に交換が必要な消耗品が存在します。
- ノズル
- ビルドプレート
- ベルト など
ノズルは、フィラメントを溶かし出して造形する部分であり、摩耗や詰まりによって劣化してしまうため、定期的な交換が必要です。ノズルの値段は、材質や径によって異なりますが、1個あたり500円〜2,000円程度が相場となります。
ビルドプレートの値段は、機種やサイズによって異なりますが、数千円〜数万円程度が相場です。また、ベルトの値段は機種や長さによって異なりますが、数百円〜数千円程度かかります。3Dプリンターを選ぶ際には、消耗品の値段も事前に確認するようにしましょう。
3D CADなどのソフトウエア
3Dプリンターで造形を行うために、3D CADソフトを使用して3Dモデルを作成します。3D CADソフトには、無料のものから有料のものまで種類はさまざまです。
無料の3D CADソフトでも、簡単な造形であれば十分に対応できる一方で、機能が限られてしまうという懸念もあります。より高度な機能を使用したい場合には、有料の3D CADソフトを使うといいでしょう。複雑な造形にも対応できる分、値段は高くなります。ソフトの種類や機能によっては、年間数万円〜数十万円程度のタイプも存在します。
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保守料や保証料
3Dプリンターは精密機器であるため、メーカーによっては、保守契約や保証サービスを提供している場合があります。このようなサービスを利用する場合は、保守料や保証料の値段も考慮しなければなりません。
保守契約を締結することで、定期的な点検や修理を割引価格で受けられる場合があり、故障時の対応も迅速に行ってもらえます。保守契約の料金は、機種や契約内容によって異なりますが、年間数万円〜数十万円程度が相場です。
保証サービスは故障が発生した場合に、無償で修理や交換を受けられるサービスです。保証期間は、メーカーや機種によって異なりますが、通常は1年〜2年程度です。保証サービスを利用するには、別途料金が必要な場合もあります。
特に業務で3Dプリンターを使用する場合には、これらの料金を予算に加えておくといいでしょう。
人材育成費
3Dプリンターを効果的に活用するためには、3Dモデリングやプリンターの操作方法などを習得する必要があります。特に企業で3Dプリンターを導入するのであれば、従業員への研修費用も考慮しなければなりません。
研修は、費用は内容や期間によって異なり、数万円〜数十万円程度の費用がかかる場合もあります。社内で3Dプリンターの専門家を育成するのであれば、専門書やオンライン講座などを活用することで、費用を抑えながら人材育成を行えます。
3Dプリンターを導入する際は、人材育成にかかる費用も考慮し、適切な育成計画を策定することが重要です。
値段を抑えて3Dプリンターを利用するには
ここまで3Dプリンターを使用する際の値段について見てきました。なかには少しでも値段を抑えたいと感じた方もいるでしょう。ここからは値段を抑えて3Dプリンターを利用する方法を解説します。
中古品を購入する
3Dプリンターを安く所有したい場合には、中古品の購入を検討するといいでしょう。中古品は、個人売買サイトやオークションサイト、中古販売店などで購入でき、新品と比べて値段を抑えられます。
ただ、中古品を購入する際には注意しなければならない点があります。正常に動作しなかったり、外観に傷や汚れがあったりする場合もあるため、事前に写真や説明文を確認しなければなりません。
なお、多くの販売店では中古の3Dプリンターは保証の対象外となっています。そのため、故障やトラブルがあった際の保証がないと心配な方は、新品で購入した方が良いでしょう。
使用するときだけレンタルする
3Dプリンターの所有にこだわらないのであれば、使用するときだけレンタルする方法が有効です。レンタルサービスでは、短期間から長期間まで、さまざまな期間で3Dプリンターを借りることができます。購入するよりも初期費用を抑えることができ、必要な時だけ利用できるので、スペースの節約にもなります。
専門のレンタル会社やメーカーなどが提供しているため、レンタル期間中のサポートやメンテナンスも充実しています。レンタル料金は、1日あたり数千円から数万円程度が相場です。必要な期間や費用を比較検討し、最適なレンタルサービスを選びましょう。
3Dプリント出力サービスを利用する
3Dプリンターを購入したりレンタルしたりするのではなく、3Dプリント出力サービスを利用するという方法もあります。3Dプリント出力サービスとは、3Dデータを提供することで、専門の業者に造形を依頼するサービスです。
3Dプリンター本体の購入費用や維持費、材料費などが不要であるため、コストを抑えることができます。また、専門の業者が高品質な造形を行ってくれるため、初心者でも安心して利用できます。
3Dプリント出力サービスは、オンラインで簡単に依頼することができます。値段は、造形物のサイズや複雑さ、素材などによって異なりますが、数百円から数万円程度が相場です。
値段だけで決めるのはNG!3Dプリンターの選び方
つい安い値段の3Dプリンターを見つけたら、購入したくなるかもしれません。ただ値段だけで決めるのは危険です。ここでは3Dプリンターの選び方について3つの視点で解説します。
何を作りたいのか用途を決める
3Dプリンターを選ぶ際には、まず「何を作りたいのか」という用途を明確にすることが重要です。フィギュアや模型、アクセサリーなどの趣味で使うのか、試作品や治具などの業務で使うのかによって、必要な機能や性能が異なります。
例えば、細かい造形が必要なフィギュアや模型を作る場合は、造形精度が高い機種を選ぶ必要があります。一方、試作品や治具のように強度が求められる場合は、耐久性の高い素材に対応した機種を選ばなければなりません。
用途を明確にすると、必要な機能や性能を絞り込めて、最適な3Dプリンターを選ぶことができます。
本体の機能やサイズを確認する
本体の機能やサイズも重要な要素です。3Dプリンターを選ぶ際に確認したいのは、各製品の下記項目も比較検討しましょう。
- 造形精度
- 造形速度
- 対応フィラメントの種類
- 操作性 など
造形精度は、造形物の細かさを表す指標であり、数値が小さいほど細かい造形が可能です。造形速度は造形にかかる時間を表す指標で、数値が大きいほど、より早く造形が完了します。
対応フィラメントの種類は、使用できるフィラメントの種類を表します。また、ご家庭や社内に設置して、問題なく操作できるかどうかも確認しておきましょう。
メーカーの保証やサポートを確認する
3Dプリンターは精密機器であるため、故障やトラブルが発生する場合があります。いざというときのために、メーカーの保証やサポート体制は充実しているものがいいでしょう。
保証期間はメーカーや機種によって異なりますが、通常は1年程度です。保証期間内であれば、故障した場合でも無償で修理を受けられる場合があります。サポート体制は、電話やメールで問い合わせができるだけでなく、オンラインマニュアルやFAQなどが充実しているメーカーを選ぶと安心です。
安心して3Dプリンターを使用するためにも、メーカーの保証やサポート体制をしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
3Dプリンターを導入する際は本体だけでなく、材料や消耗品、ソフトウェアなどのランニングコストもかかります。3Dプリンターの種類によって、かかる値段も異なるので、導入する際はそういった費用も含めて検討しましょう。
導入費用を節約したい場合は、レンタルや3Dプリント出力サービスなどを利用することもできます。ただし、3Dプリンターを導入して個人で楽しんだり、社内の業務効率化に役立てたりしたい場合は、長い目で見ると購入した方がお得な場合もあります。
3Dプリンターを導入する際は、この記事を参考にさまざまな費用がかかることを念頭に入れて、検討してくださいね。