【導入事例】Siemens Gas & Power社:リードタイム・コストを大幅カット
- 3Dプリンター
- 2023.8.29
- Markforged 導入事例 X7
今回は、Siemens Gas & Power社がMarkforgedの3Dプリンターを導入し、リードタイムとコストを大幅カットした事例についてご紹介します。アメリカ合衆国フロリダ州のオーランドにあるSiemens Gas & Power社は、エネルギー事業で社会を支えている企業です。同社はMarkforgedの3Dプリンターを2016年に導入し、治具や部品の作成に活用しています。ここからはSiemens Gas & Power社がどのような問題を抱え、解決したかを詳しく見てみましょう。
Siemens Gas & Power社が抱えていた問題
Siemens Gas & Power社は、何千もの住宅や企業を支え続けています。Siemensの3つの事業会社のうちの1つであるGas & Power社では、世界中にコンプレッサー・タービン・発電機を所有しています。
Siemens Gas & Power社のエンジニアは、ガスタービンハウジングの修理が必要な場合、メンテナンスのために丸ノコで効率よくハウジングに切り込みを入れる必要があります。しかしハウジングは複雑な形状をしているので、一般的な丸ノコでは活用できませんでした。
これまでチームは、購入した一般的な丸ノコをフィリピンの工場に発送したのち、外形を加工してから米国に返送して、再組み立てを行うことで解決していました。この解決方法だと、エンジニアが加工されたツールを受け取るまでには3週間以上かかるため、規模の拡張が不可能でした。
「必要なカスタム工具を作成できるだけでなく、従来の製造方法では製造できなかった部品も製造できます。」
— Siemens Gas & Power社 エンジニア Sam Dicpetris氏
問題の解決方法
Siemens社のエンジニアは、タービンの外形に正しく一致する丸ノコの部品がほぼ3Dプリンターで製作できると判断しました。チームはMarkforgedの工業用複合3Dプリンター「X7」が最適であると判断し、導入しました。「モーターとブレードは既製品を購入しましたが、それ以外はすべてカスタムメイドしました。」とSiemens Gas & Power社のエンジニアであるSam Dicpetris氏は語ります。
部品ははじめにOnyx(マイクロ炭素繊維を充填したナイロンベースの材料)で試作を行ったのち、連続炭素繊維強化技術により構造を強化しました。プリントした丸ノコを用いることで、現場でのタービン修理にかかる時間が数週間ではなく、数日まで短縮されました。「私たちは、切りたい対象物の外形に正確にフィットするツールを製作し、切断できるようになりました。これは既製品のものとは異なります。」とDicpetris氏は述べています。
Siemens Gas & Power社は、これらのツールのリードタイムを数週間から数日に短縮しただけでなく、競争の激しい業界で最先端を維持しながらコストも削減しました。Dicpetris氏は、チームが1つのカスタム丸ノコだけで8,000ドル以上を節約し、他の業務でも数十万ドルを節約できたと推定しています。
エンジニアリングチームがこのプロジェクトを始動したあと、問題解決のアプローチとして、積層造形のための設計「DFAM」を採用し始めました。現在、Siemens Gas & Power社のエンジニアは、部品が必要になったとき、従来の方法で製造されたものではなく、3Dプリントされた部品に目を向けています。
「炭素繊維の強度は、本当に素晴らしい。プラスチック部品のような感触と見た目であるのに、内部強度が大きく違っていると誰もが衝撃を受けます。」
— Siemens Gas & Power社 エンジニア Sam Dicpetris氏
Siemens Gas & Power社の現在
100名を超えるSiemens Gas & Power社のエンジニアがMarkforgedのテクノロジーを活用しており、その勢いは衰えていません。同社のエンジニアは、製品ラインと工程を改善するために、タービンブレード用のモジュラー治具などの新しい運用を常に模索しています。3Dプリンターはほぼ24時間年中無休で稼働しており、機器が停止している時間はほとんどありません。
まとめ
Siemens Gas & Power社は、部品の製造に数週間の時間を要していましたが、Markforgedの3Dプリンターを導入したことにより、わずか数日まで短縮されました。また、ひとつの部品製作だけで8,000ドル以上のコストカットも実現しています。
Markforgedの3Dプリンターは、レーザー計測器の搭載による高精度造形や、炭素繊維を用いた高強度造形が可能で、工業用の部品を作成したい方におすすめです。3Dプリンターの実機や造形物を見たり触れたりしたい方は、弊社が開催している大阪・東京のショールームをぜひご利用ください。ショールームの参加は事前のご予約が必要です。詳細については、以下のページをご確認ください。