5つのポイントで測量に適した3Dスキャナーを解説!おすすめ機種も紹介
- 3Dスキャナー
- 2024.11.29
- SCANTECH メリット・デメリット
高精度かつ効率的な3Dデータが収集できる機械として、3Dスキャナーが注目を集めています。近頃では、建設や土木業界などの測量でも用いられており、従来の手法と比べて効率的なデータ収集が進んでいます。
とはいえ、3Dスキャナーもさまざまです。本記事では測量に適した3Dスキャナーを選ぶ際の5つの重要ポイントを詳しく解説します。さらに、実際の測量プロセスや、おすすめの機種も紹介します。本記事を参考に3Dスキャナーを選び、測量作業の生産性と精度を向上させましょう。
目次
測量で3Dスキャナーを活用するメリット
3Dスキャナーを測量に活用すると、これまでの手法では実現できなかった多くのメリットが得られます。
最も大きなメリットは、作業時間の大幅な短縮でしょう。広範囲を短時間で高精度にスキャンできるため、現場での作業効率が飛躍的に向上します。
次に、データの正確性と細かさが格段に向上します。ミリ単位の精度で対象物の3次元データを取得できるため、微細な地形の変化や構造物の形状を正確に測定可能です。
さらに、安全性の向上も大きなメリットといえるでしょう。危険な場所や接近困難な場所であっても、離れた位置からスキャンできるため、作業者の安全確保につながります。
取得したデータがさまざまな目的に利用できるという点もメリットです。3Dスキャナーで測定して得られた3Dモデルは設計、施工、維持管理など、プロジェクトのさまざまな段階で活用可能です。いちいち形にする必要がないため、総合的なコスト削減にもつながります。
なお、3Dスキャナーの仕組みや、活用方法については、別の記事でまとめています。下記のリンク先にて紹介しているので、こちらもご覧ください。
3Dレーザースキャナーとは?仕組みや測定原理とメリット・デメリットも解説
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3Dレーザースキャナーで測量業務を効率化!業界別活用方法も紹介
測量業務に携わっている人や企業が注目しているのが3Dレーザースキャナーです。高精度なデータを素早く集められるため、測量業務の効率化に大きく貢献しています。従来の測量方法と比べ、作業効率が大幅に向上し、…
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測量に適した3Dスキャナーを選ぶ際の5つのポイント
ここからは、測量に適した3Dスキャナーを選ぶ際のポイントを紹介します。下記の5つに着目して説明するので、最後までご覧ください。
- ポイント1:環境への適応性
- ポイント2:測定範囲と精度
- ポイント3:ハンディ型か据え置き型か
- ポイント4:データ処理と統合性
- ポイント5:センサーテクノロジー
それでは、順番に見ていきましょう。
ポイント1:環境への適応性
測量現場の環境はさまざまであるため、3Dスキャナーの環境適応性は重要です。たとえば、屋外での使用を想定するのであれば、防塵・防水性能を確認しましょう。また、極端な温度変化や振動にも耐えられるかを確認することも重要です。
さらに、明るい日光下でも視認性の高いディスプレイや、暗所でも正確にスキャンできる機能も確認したほうがいいでしょう。測量を行う現場に合わせて、最適な環境適応性を持つ機種を選択することで、安定した測量作業が実現できます。
ポイント2:測定範囲と精度
3Dスキャナーの測定範囲と精度は、測量作業に大きな影響を及ぼします。広大な土地や大規模構造物を測量する際には、長距離測定が可能なモデルを採用するといいでしょう。一方、建築物の詳細な寸法測定には、高精度のスキャナーが必要です。
測定範囲は数メートルから数百メートルまで、精度はミリメートル単位からサブミリメートル単位まで、さまざまな機種があります。プロジェクトの規模と求められる精度を考慮し、適切なバランスを持つ機種を選びましょう。
ポイント3:ハンディ型か据え置き型か
3Dスキャナーの形状は、作業効率と測定精度を左右します。ハンディ型の3Dスキャナーは機動性に優れ、狭小空間や複雑な形状の対象物に適しています。操作が直感的で、短時間で広範囲をスキャン可能です。
一方、据え置き型は高精度な測定が可能で、大規模な測量に適しています。三脚などで固定するため、振動の影響を受けにくく、長時間の安定した測定が可能です。測量対象や作業環境に応じて、最適な形状を選択しましょう。
ポイント4:データ処理と統合性
測量した結果は、データ処理と既存システムとの統合が不可欠です。そのため高性能な処理ソフトウェアが付属している機種や、業界標準のファイル形式に対応している製品がおすすめです。
また、CADソフトやBIMソフトとの互換性も重要です。クラウドベースのデータ管理システムとの連携機能があれば、チーム間でのデータ共有や遠隔地からのアクセスも容易になります。将来的なシステム拡張も視野に入れ、柔軟性の高い機種を選ぶといいでしょう。
ポイント5:センサーテクノロジー
3Dスキャナーの心臓部であるセンサーテクノロジーは、測定の質を左右する重要な要素です。主な方式には、レーザー光を使用するTime of Flight方式や位相差方式、構造化光を用いる方式などがあります。
各方式には特徴があり、例えばTime of Flight方式は長距離測定に適し、位相差方式は高速スキャンが可能です。測量対象の特性や求められる精度、スキャン速度などを考慮し、最適なセンサーテクノロジーを採用している機種を選択しましょう。
3Dスキャナーを使った測量の流れ
ここでは、3Dスキャナーを使った測量の流れを解説します。3Dスキャナーを使った測量は、以下の3つの流れで行われます。
- 3Dスキャナーを使った現場測量
- 点群データの収集
- 精密な3Dモデルや各種図面の作成
ひとつずつ具体的に見ていきましょう。
3Dスキャナーを使った現場測量
3Dスキャナーを用いた現場測量は、従来の手法に比べ効率的です。まず、測量対象の周囲に基準点を設置し、スキャナーを適切な位置に配置します。大規模な現場では、複数の位置からスキャンを行い、後でデータを統合することも可能です。
スキャン中は、レーザーや構造化光が対象物に照射され、その反射を機器が捉えます。ユーザーはスキャンの進捗をリアルタイムでモニタリングし、必要に応じて位置調整や再スキャンを行います。この段階で、対象物の3次元形状が高精度にデジタル化されていくのです。
点群データの収集
3Dスキャナーによって収集されるデータは「点群データ」と呼ばれ、空間内の無数の点の集合で、各点は3次元座標(X, Y, Z)を持ちます。このデータには、位置情報だけでなく、反射強度や色情報なども含まれることがあります。
点群データの密度は測定精度に直結するため、スキャン設定時に適切な解像度を選択することが重要です。
精密な3Dモデルや各種図面の作成
収集した点群データを基に、精密な3Dモデルや各種図面を作成します。専用のソフトウェアを使用し、まず点群データのノイズ除去や位置合わせを行いましょう。
次に、点群から面を生成し、立体的な3Dモデルを構築します。このモデルは、CADソフトウェアで編集可能な形式に変換され、詳細な寸法図や断面図、等高線図などの2D図面も作成可能です。
さらに、テクスチャマッピングにより、写真のような高精細な3Dモデルも生成できます。これらのデータは、設計、施工、維持管理など、プロジェクトのさまざまな段階で活用されます。
測量に適した3Dスキャナーおすすめ6選
では、測量に適した3Dスキャナーにはどのような機種があるのでしょうか。ここでは6つのおすすめ機種を紹介します。
NIMBLETRACK
SCANTECH「NIMBLETRACK」は、高速かつ高精度な3D測定を実現する3Dスキャナーです。軽量コンパクトな設計で、狭小空間や複雑な形状の対象物も容易に測定できます。最大0.025mmの高精度測定が可能で、大規模な工業部品から繊細な文化財まで、幅広い用途に対応可能です。
複数のiTrackerを追加すれば、計測範囲を拡張でき大型物体でも高い精度で測定できます。ブルーレーザー技術を採用し、光沢のある表面や黒色の物体も正確にスキャンできます。
メーカー・製品名 | SCANTECH「NIMBLETRACK」 |
最大スキャン幅(ワンショット) | 500mm × 600mm |
精度 | 最大0.025mm |
動作温度範囲 | -10~40℃ |
商品詳細 | 公式ページ |
TRACKSCAN-Sharp
SCANTECH「TRACKSCAN-Sharp」は、大規模な測量プロジェクトに最適な高性能3Dスキャナーです。最大6メートルのトラッキング距離と0.025mmの高精度を誇り、建築物や大型機械の測量に威力を発揮します。
広いスキャン空間と堅牢なエッジ測定アルゴリズムにより、トラッカーを頻繁に移動させることなく大型部品をスキャン可能です。効率的でスムーズに測量を行いたい方に最適です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「TRACKSCAN-Sharp」 |
最大スキャン幅(ワンショット) | 500mm × 600mm |
精度 | 最大0.025mm |
動作温度範囲 | 0~45°C |
商品詳細 | 公式ページ |
TRACKSCAN-Pシリーズ
SCANTECH「TRACKSCAN-Pシリーズ」は、携帯性と高性能を両立した革新的な3Dスキャナーです。最大0.025mmの精度で、中小規模の対象物を迅速かつ正確に測定できます。M-TRACK光学式トラッカーを増設すれば、測定範囲は最大約16mまで拡張可能です。
また、ブルーレーザーを光源としているため、外部の光や熱などの影響(干渉)を受けにくいという特徴をもっています。屋外や工場内など、直射日光や熱変動が激しい環境下でも正確な計測が可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「TRACKSCAN-Pシリーズ」 |
最大スキャン幅(ワンショット) | 500mm × 600mm |
精度 | 最大0.025mm |
動作温度範囲 | -10~40°C |
商品詳細 | 公式ページ |
KSCAN-MAGIC
SCANTECH「KSCAN-MAGIC」は、多様な測定ニーズに対応する多機能3Dスキャナーです。最大0.025mmの高精度測定が可能で、11本の平行な赤外線レーザーラインを使用した大範囲スキャンモードでは、最大1440mm×860mmの面積をスキャンできます。
特徴的なのは、5つの異なる測定モードを搭載していることです。これにより、単一の機器で点測定、線測定、面測定など、さまざまな測定方法を使い分けられます。また、独自の深度カメラ技術により、複雑な形状や深い穴の測定も可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「KSCAN-MAGIC」 |
最大スキャン幅(ワンショット) | 1440mm × 860mm |
精度 | 最大0.025mm |
動作温度範囲 | -10~40°C |
商品詳細 | 公式ページ |
MSCAN-L15
SCANTECH「MSCAN-L15」は、大きな対象の精密な形状測定を目的として特別設計されたレーザースキャナーです。2mから10mの大規模な物や部品に対して、体積精度0.012 mm/mを実現しており、広大な土地や大型構造物であっても、3Dデータを効率的に収集できます。
人間工学に基づいたデザインのため、持ち運びがしやすく、長時間持っていても疲れにくいのも特徴です。3D検査、製品開発、品質保証などの大規模測定向けに、適した3Dスキャナーです。
メーカー・製品名 | SCANTECH「MSCAN-L15」 |
撮影範囲 | 最大9.4m × 6.9m |
精度 | 体積精度0.012 mm/m |
動作温度範囲 | -10~40°C |
商品詳細 | 公式ページ |
TRACKPROBE
SCANTECH「TRACKPROBE」は、接触式と非接触式の測定を融合させた革新的な3Dスキャナーです。レーザースキャンと触覚プローブを組み合わせることで、視認が困難な箇所や複雑な内部構造も正確に測定できます。
有線と無線の両方の転送モードに対応しており、無線モードを使用すれば自由な動きが可能です。そのため、大型対象物の測定も容易にできます。
メーカー・製品名 | SCANTECH「TRACKPROBE」 |
お勧め対象サイズ | 0.1m-12m |
精度 | 体積精度0.049 mm |
動作温度範囲 | 0~45°C |
商品詳細 | 公式ページ |
まとめ
本記事では、測量に適した3Dスキャナーのメリットや選定ポイントを解説し、実際の測量プロセスを紹介しました。環境適応性、測定範囲と精度、スキャナーの形状、データ処理能力、センサーテクノロジーの5つのポイントを押さえることで、最適な機種を選ぶことができるでしょう。
さらに、おすすめの6機種を取り上げ、それぞれの特徴を詳述しました。測量の精度と効率の向上を期待している方は、本記事を参考に3Dスキャナーを選んでみてください。もし、最適な3Dスキャナーが見つからない場合は、弊社までお問い合わせください。