高精度3Dスキャナーおすすめ10選!メリットやデメリットも紹介
- 3Dスキャナー
- 2024.10.31
精度の高い3Dデータを取得したいときは、高精度3Dスキャナーは非常に有効です。技術の進化もあり、これまでよりも精度の高い3Dスキャナーも登場しています。そこで本記事では、業務用から個人利用まで幅広く活用できるおすすめの高精度3Dスキャナーを、10機種紹介します。
精度0.02mmを誇る最先端モデルから、コストパフォーマンスに優れた製品まで、さまざまなニーズに対応する機種を厳選しました。各スキャナーの特徴や性能、高精度3Dスキャナー導入のメリットとデメリットも解説します。
高精度3Dスキャナーの最前線を知り、利用場面に合わせた最適な機種選びにお役立てください。
目次
高精度3Dスキャナーとは?
高精度3Dスキャナーは、部品や建築物などの物体を高い精度で測定し、3Dデータを取得する機器です。3Dスキャナーは主に、レーザー光や光学センサーを使用して対象物の形状を詳細に捉えます。一般的に、0.1mm以下の精度を持つスキャナーが高精度と呼ばれ、最新のモデルでは0.02mm以下の精度を実現しています。
高精度3Dスキャナーは、下記のような幅広い産業で活躍する機器です。
- 製造業における品質管理
- リバースエンジニアリング
- 建築・土木分野での測量 など
非接触で測定できるため、繊細な対象物や大規模な構造物にも適用できます。短時間で膨大なデータを収集できる点も特徴です。
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精度と解像度は何が違うの?
3Dスキャナーのスペックを示す指標として、精度と解像度があります。2つの指標は、本来別物なのですが混同されがちです。
精度は、スキャンしたデータが実物に対して、どれくらいの誤差があるかを示す数値です。例えば0.02mmの精度であれば、スキャンした結果と現物の誤差が0.02mm以内に収まることを意味します。一方、解像度は、スキャンした点群データの密度のことです。例えば0.2mmの解像度であれば、0.2mm間隔でスキャンできることを示します。
高精度のスキャナーは形状を正確に捉え、高解像度のスキャナーはより細かいディテールを取得できると考えるといいでしょう。
おすすめの高精度3Dスキャナー10選
ここからは、おすすめの高精度3Dスキャナーを10機種紹介します。今回紹介する高精度3Dスキャナーの精度は下記のとおりです。
品名 | メーカー | 精度 |
NIMBLETRACK | SCANTECH | 最大0.025mm |
TRACKSCAN-Sharp | SCANTECH | 最大0.025mm |
TRACKSCAN-P | SCANTECH | 最大0.025mm |
KSCAN-MAGIC | SCANTECH | 最大0.025mm |
SIMSCAN-E | SCANTECH | 最大0.020mm |
SIMSCAN | SCANTECH | 最大0.020mm |
MSCAN-L15 | SCANTECH | 体積精度0.012 mm/m |
Moose | 3DMakerpro | 0.03mm |
Seal | 3DMakerpro | 0.01mm |
Mole | 3DMakerpro | 0.05mm |
本記事では高精度の定義を0.05mm以下としています。それぞれのスキャナーについて詳しく見ていきましょう。
NIMBLETRACK
NIMBLETRACKは、コンパクトなデザインながら、高い機動性と精度を誇る3Dスキャナーです。最大0.020mmの精度と120FPSの高フレームレートを実現しており、マーカーレスでの効率的なスキャンが可能です。
さらに、グレースケール計測による高精度なエッジ検出機能も備えており、穴、スロット、エッジなどの閉じた輪郭を正確に測定できます。強力なバッテリーが採用されているため、長時間の連続運転が可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「NIMBLETRACK」 |
精度 | 最大0.025mm |
価格 | 要問合せ |
TRACKSCAN-Sharp
TRACKSCAN-Sharpは、大型部品の測定に適した3Dスキャナーです。最大6メートルのトラッキング距離と49平方メートルの空間測定範囲を誇り、最大0.025mmの高精度での測定を実現します。
21本のクロスブルーレーザーによる高速スキャンモードや、7本の平行ブルーレーザーによる高解像度スキャンモードを備え、多様なニーズに対応しています。さらに、マーカーレススキャンや有線・無線データ転送にも対応し、効率的で柔軟な測定が可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「TRACKSCAN-Sharp」 |
精度 | 最大0.025mm |
価格 | 要問合せ |
TRACKSCAN-Pシリーズ
TRACKSCAN-Pシリーズは、高精度かつ多機能な3Dスキャナーです。最大0.025mmの精度と0.020mmの解像度を誇り、3つのスキャンモードを切り替えて使用できます。
42本または50本のブルーレーザーを搭載し、最大2,600,000点/秒の高速スキャンも特徴です。マーカーレススキャンに対応し、黒色や光沢のある素材も粉末スプレー不要でスキャンできます。さらに、T-Probeを使用すれば、深穴や円形、スロットなどの測定も可能となり、幅広い用途に対応可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「TRACKSCAN-Pシリーズ」 |
精度 | 最大0.025mm |
価格 | 1,000万円以上 |
KSCAN-MAGIC
KSCAN-MAGICは、赤外線と青色レーザー技術を融合させた3Dスキャナーです。最高精度0.020mm、解像度0.010mmを誇り、5つの作業モードを標準装備しています。
1,440×860mmの広範囲スキャンに対応しており、最大270万点/秒の高速スキャンが可能です。光沢や黒色の表面も簡単にスキャンでき、大型オブジェクトから精密部品まで幅広い用途で活用できます。
メーカー・製品名 | SCANTECH「KSCAN-MAGIC」 |
精度 | 最大0.025mm |
価格 | 100万〜500万円 |
SIMSCAN-E
SIMSCAN-Eは、コンパクトで軽量な手のひらサイズの3Dスキャナーです。最大630万点/秒の高速スキャン能力と0.020mmの高精度を実現し、産業用途に向いています。
63本のレーザーと180FPSのフレームレートにより、効率的でスムーズなスキャンが可能です。大容量バッテリーとデュアルパワーデザインにより、長時間の連続使用にも対応しています。また、狭小空間や複雑な形状のスキャンも可能です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「SIMSCAN-E」 |
精度 | 最大0.020mm |
価格 | 要問合せ |
SIMSCAN
SIMSCANは、わずか570gの軽量ボディで、最高精度0.020mmを実現した手のひらサイズの高精度3Dスキャナーです。3種類のスキャンモードを搭載し、最大280万点/秒の高速スキャンに対応しています。
金属や光沢のある表面もスプレー不要でスキャンできるのも特徴です。コンパクトなボディを生かし、狭小空間や複雑な形状のスキャンにも優れています。産業用途に適した高性能と使いやすさを兼ね備えているため、リバースエンジニアリングや品質管理など幅広い分野で活用できます。
メーカー・製品名 | SCANTECH「SIMSCAN」 |
精度 | 最大0.020mm |
価格 | 100万〜500万円 |
MSCAN-L15
MSCAN-L15は、最大0.015mm + 0.012mm/mの体積精度を実現した3Dスキャナーです。大型物体の測定に特化しており、搭載された5つの高解像度カメラで、最大9.4m × 6.9m広範囲をカバーできます。
6.5mの深い被写界深度により、複雑な形状も正確に捉えます。-10°C~40°Cの幅広い温度範囲で動作するため、過酷な環境下でも利用可能です。自動車、航空宇宙、造船など大規模な産業用途に最適です。
メーカー・製品名 | SCANTECH「MSCAN-L15」 |
精度 | 体積精度0.012 mm/m |
価格 | 要問合せ |
Moose
Mooseは、高度なAIトラッキングを搭載した3Dスキャナーです。マーカー不要で手ブレ防止モジュールを搭載しているため、誰でも簡単にプロ級の3Dスキャンが可能です。
ブルーライトテクノロジーにより0.03mmの高精度を実現し、0.07mmの解像度で細部まで再現できます。AIを統合したスキャン作業とデータ処理により、より完璧な3Dモデルが作成可能です。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Moose」 |
精度 | 0.03mm |
価格 | 89,000円(税込97,900円) |
Seal
Sealは、0.01mmという驚異的な精度を誇るコンシューマー向け3Dスキャナーです。解像度も0.05mmと高く、同クラスのスキャナーの最大5倍の解像度で測定できます。
254gの軽量コンパクト設計で、24ビットカラーカメラを搭載し、鮮やかな色彩、コントラスト、複雑なディティールを再現します。また、光学式手ブレ補正レンズにより、スムーズで連続的なスキャンが可能です。初心者でも簡単に使える一方で、プロ向けの高度なカスタマイズも可能な3Dスキャナーです。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Seal」 |
精度 | 0.01mm |
価格 | 89,000円(税込97,900円) |
Mole
Moleは、NIR(近赤外線)光源を採用し、0.05mmの高精度と0.1mmの高解像度を実現したハンディ型3Dスキャナーです。従来の技術では到達できなかった深い領域までスキャンが可能で、素材の特性をより正確に捉えられます。
マーカーレススキャンに対応しており、手持ち、ターンテーブル、コードレスの3つのスキャン方法が利用可能です。24ビットカラーカメラを搭載しているため、鮮やかなテクスチャーも再現できます。工業用途だけでなく一般家庭でも使いやすい3Dスキャナーです。
メーカー・製品名 | 3DMakerpro「Mole」 |
精度 | 0.05mm |
価格 | 90,000円(税込99,000円) |
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高精度3Dスキャナーのメリット
ここからは高精度3Dスキャナーのメリットを、以下の3つの視点で解説します。
- 詳細なデータ取得
- 品質管理の向上
- リバースエンジニアリングの効率化
3つのメリットを順番に見ていきましょう。
詳細なデータ取得
高精度3Dスキャナーの最大のメリットは、対象物の詳細なデータを取得できることです。最新の高精度スキャナーは0.01mm程度の精度を実現し、肉眼では捉えにくい微細な形状や表面の凹凸まで正確に捉えることが可能です。
複雑な形状や細かいテクスチャーを忠実に測定できるため、医療分野での人体の3Dモデル作成や、建築分野での詳細な構造解析など、精密なデータが要求される分野で活用されています。
品質管理の向上
高精度3Dスキャナーは品質管理を大幅に向上させます。高精度で部品の寸法を測定し、CADモデルと比較すれば、製造誤差を迅速かつ正確に検出できるでしょう。また、非接触式測定を用いれば、柔らかい素材や変形しやすい部品も傷つけることなく検査できます。
また、複雑な形状や内部構造も詳細にスキャンできるため、従来の測定方法では困難だった箇所の検査も可能です。これにより、不良品の早期発見と製造プロセスの迅速な改善につながります。
リバースエンジニアリングの効率化
高精度3Dスキャナーは、リバースエンジニアリングのプロセスの効率化をもたらします。実物を高精度でスキャンし、詳細な3Dデータを短時間で取得できるため、複雑な形状や微細な特徴も正確に捉えることが可能です。
また、得られたデータを直接CADソフトウェアに取り込めば、3Dモデルの作成や図面化が行えます。このように高精度3Dスキャナーを活用すると、製品開発サイクルの短縮や、廃番部品の再生、既存製品の改良など、さまざまな場面でリバースエンジニアリングが効率化されます。
高精度3Dスキャナーのデメリット
高精度3Dスキャナーの活用にはメリットだけが存在するわけではありません。ここでは以下の2つのデメリットについて解説します。
- 高コスト
- データ処理の複雑さ
2つのデメリットを見ていきましょう。
高コスト
高精度3Dスキャナーの最大のデメリットは、高コストである点です。業務用・工業用の高精度3Dスキャナーの価格相場は300万円以上で、高性能なモデルになると1,000万円を超えることもあります。
さらに、スキャナー本体の費用だけでなく、下記の費用も考慮しなければなりません。
- 専用ソフトウェアのライセンス料
- 高性能PCの購入費
- 定期的なメンテナンス費用
- 操作研修費用 など
総合的なコストが、高精度3Dスキャナーの導入の障壁となっています。
データ処理の複雑さ
データ処理の複雑さも高精度3Dスキャナーのデメリットのひとつです。通常、スキャンで取得される大量の点群データは、そのままでは直接利用できません。ノイズ除去、データ変換、CAD化など、専門的な知識とソフトウェアを要する複雑な後処理が必要です。
高精度なスキャンほどデータ量が膨大になるため、処理に時間がかかります。処理には熟練したオペレーターが必要であることが、3Dスキャナー導入を妨げる場合もあるようです。
まとめ
高精度3Dスキャナーは、詳細なデータ取得が可能で、品質管理やリバースエンジニアリングでその効果を発揮します。その一方で、高コストやデータ処理の複雑さといったデメリットも存在します。
それでも高精度3Dスキャナーはさまざまな場面で、革新的な成果をもたらします。3Dスキャナーの導入をご検討中の方は、お気軽に弊社にご相談ください。貴社の用途に合わせて最適な製品をご提案させていただきます。