生物由来成分が全体の53%を占めるELASTO 1000 BIOが、米国農務省のバイオマス製品認証を取得
- 3Dプリンター
- 2025.6.25
- PollyPolymer STARAY

3Dプリント技術は誕生以来、試作から小ロット生産へと、2つの大きな変遷を遂げてきました。現在、世界の製造業が脱炭素化とデジタル化を急速に進める中、この技術は第3の波を迎えようとしています。それは、“環境にやさしい素材”を軸とした量産の新たな形です。
こうした流れの中で、中国のPollyPolymer社が独自開発したバイオマス由来の弾性素材「ELASTO 1000 BIO」が、米国農務省(USDA)の『バイオ製品認証ラベル』を取得。この認証は、同社の素材が環境配慮型のものづくりをリードする革新的な存在であることを証明しています。
今回認証を受けたのは「ELASTO 1000 BIO」という製品で、世界的に信頼されている第三者機関による試験・認証を経て、生物由来の成分比率が53%と確認されました。これは、認証の最低基準である20%を大きく上回る数値であり、PollyPolymer社が環境配慮・低炭素・持続可能な開発を追求する姿勢が、国際的にも高く評価されたことを意味しています。
バイオベース製品認証ラベルとは?
「バイオマス製品認証ラベル(Certified Biobased Product Label)」は、米国農務省(USDA)の「BioPreferredプログラム」によって発行される認証マークです。
この制度は、植物や海洋資源、森林資源などの再生可能な原材料を使った製品の普及と市場拡大を目的としています。
この認証により、消費者は「この製品にはバイオマス(生物由来)の成分が含まれている」ということを簡単に見分けることができ、製品情報の正確性も保証されます。
認証を受けた製品の主な原材料には、植物油、トウモロコシ、藻類、木材などの再生可能資源が含まれており、化石資源の代わりに生物由来資源を活用することで、環境や人の健康への負荷を減らす効果が期待されています。
現在、3,500種類以上の製品がこのUSDA認証を取得しており、世界中でサステナブルな製品選びの指標として活用されています。
ELASTO 1000 BIO:性能と環境配慮を両立した革新素材
従来の3Dプリント材料は、複雑な構造や高い性能を求められる場面で限界に直面することが多く、特に弾性体材料の開発は長らく石油由来の原料に依存しており、その環境負荷が問題となっていました。
「ELASTO 1000 BIO」の登場は、この課題を解決するだけでなく、生物由来の特性を持つことでデジタル製造に『グリーン(環境配慮)の遺伝子』を注入した革新的な一歩となりました。
データによると、ELASTO 1000 BIOは重要な性能指標で優れた結果を示しています。
・硬度は76Aで、柔らかい触感を提供。特に靴やスポーツ用品など、高い快適性が求められる用途に最適です。
・伸び率(破断伸長率)は250%で、繰り返し曲げても耐久性があります。
・曲げ耐久回数は30万回と、業界標準を大きく上回っています。
さらに重要なのは、生物由来成分の含有率がUSDA(米国農務省)の認証を受けていることです。これは、材料の少なくとも一部が植物油や発酵由来の原料など、再生可能資源から作られていることを意味し、化石資源への依存を大幅に減らしています。
この「性能を妥協せず、環境にも配慮した」特徴により、デジタル製造における理想的な弾性体材料となっています。
例えば靴の製造では、生物由来の弾性体が高い復元力(250%の伸び率)と優れた曲げ耐久性(20万回以上)を備えており、従来のEVA素材のミッドソールの代替となるとしてゼロカーボンのスポーツシューズを実現できます。
さらに、PollyPolymerの3Dプリントスマートクラウド工場の生産システムと組み合わせることで、靴・服飾、医療、消費財、文化創造、家具、アウトドア、車載分野など幅広い産業で、3Dプリントの生物由来材料による量産化を推進し、世界の製造業の持続可能な転換に貢献します。
3Dプリント技術の量産化から持続可能な未来への大きな一歩
長い間、材料の性能や印刷の効率、コストの制約により、3Dプリントは試作や小ロット生産にとどまっていました。しかし近年、技術の進歩に伴い、3Dプリントは試作段階から実際の部品の大量生産へと大きな転換期を迎えています。
材料開発を中核に据えた3Dプリント分野の先進企業であるPollyPolymerは、ここ数年、技術革新を原動力に、産業全体のバリューチェーンを幅広く展開してきました。中でも、画期的な『HALS超高速3Dプリント技術』を発表し、プリント速度と材料性能の両面で大きな飛躍を実現。さらに、量産体制の構築にも本格的に取り組み、着実な成果を上げています。
さらに、2024年末には揚州(ヤンジョウ)工場の稼働が始まり、3Dプリントによる100万個規模のエンドパーツ量産体制が確立されました。この新たな製造モデルは、テスラの「ギガファクトリー」構想とも通じるものであり、デジタル製造の未来像を体現しています。
近年、PollyPolymerは超高速3Dプリントに対応したクラウド型工場の強力なサポート体制を通じて、国内外の多くのブランドを支援してきました。靴、クッション、ヘルメット、文房具やアート雑貨など、さまざまな分野で3Dプリントを活用した設計・製造の大規模な転換を実現しています。
これらの革新により、生産性が飛躍的に向上しただけでなく、3Dプリント製品が私たちの生活にますます身近な存在となり、3Dプリントの本格的な量産・実用化を力強く後押ししています。
近年、世界各国や関連団体は持続可能な発展に向けた取り組みを一層加速させており、再生不可能な資源に代わってバイオベース(生物由来)素材を活用する動きが大きな潮流となっています。たとえば、EUの『グリーン・ディール』やアメリカの『バイオベース優先プログラム』など、製造業のグリーン化を義務づける政策も進んでいます。
さらに、消費者の意識にも変化が見られ、ある調査では「バイオベース成分を含む製品に対して追加料金を支払ってもよい」と考える人が67%にのぼることがわかっています。
こうした流れの中で、ELASTO 1000 BIOが取得した米国農務省(USDA)の認証ラベルは、単なる技術的な証明にとどまらず、ブランドが環境配慮型市場に参入するための「グリーンパスポート」としても大きな意味を持っています。
3Dプリンティング技術は「第4次産業革命」を象徴する技術の一つとして、高効率・高い柔軟性・材料ロスの削減といった特長から、持続可能な製造の担い手として大きな期待が寄せられています。しかし、技術が進歩しても、それに見合う材料の革新がなければ、環境への貢献は限定的になってしまいます。そうした中、ELASTO 1000 BIOというバイオベース素材の登場は、3Dプリンティングの持つ環境価値を大きく引き上げるものです。
PollyPolymerのこの革新は、単なる材料開発の成功にとどまらず、製造業全体の在り方を変えるパラダイムシフトとも言えます。中国の『ダブルカーボン』目標と『インダストリー4.0』という二大潮流を背景に、3Dプリンティングは従来技術の代替手段から、「未来のものづくりの標準」を定義する存在へと進化しつつあります。
ELASTO 1000 BIOの商業化は、中国の3Dプリンティング企業が世界市場で「フォロワー」から「ルールメーカー」へと変貌しつつあることを象徴しています。
APPLE TREE株式会社では、高性能かつ環境配慮に優れた最先端バイオベース素材「ELASTO 1000 BIO」を使用したシューズブランド「STARAY」の製品を提供するとともに、製品の品質管理やお客様サポートにも徹底的に注力し、安心してお買い求めいただける体制を整えています。
今後も環境に配慮した革新的な素材・製品の普及を通じて、お客様の豊かな暮らしと持続可能な社会の実現に貢献してまいります。