Bambu Lab H2シリーズ比較表|H2D・H2D Pro・H2S・H2Cの違いと選び方
- 3Dプリンター
- 2025.11.14

※本記事の内容は、2025年10月末時点で公開されている情報に基づいています。仕様や販売状況は今後変更となる可能性があります。
※H2Cの情報については発表次第追記予定です。
Bambu LabのH2シリーズは、3Dプリントに加え、レーザー加工やデジタルカッティング機能を拡張できる多機能3Dプリンターです。
本記事では、H2D・H2D Pro・H2S・H2Cの特徴を比較し、それぞれの選び方のポイントを紹介します。
H2D LaserやH2S Laserについても説明します。
Bambu Lab H2シリーズとは
H2シリーズは、従来の3Dプリント機能に加え、レーザー加工やカッティング機能を拡張可能にしたマルチツール型の3Dプリンターです。1台で造形・彫刻・切断まで対応可能で、ホビーからプロフェッショナル、さらに産業用途まで幅広いニーズをカバーしています。
目次
各モデルの主な違い
以下の表では、各モデルの主な仕様の違いをまとめています。
※H2Cは現在開発中であり、詳細は今後公開予定です。
※スマホの方は横にスクロールできます
※項目名をクリックすると各項目の説明部分に移動します
| 項目/機種 | H2D | H2DPro | H2S | H2C(開発中) |
|---|---|---|---|---|
| ノズル数 | デュアルノズル | デュアルノズル | シングルノズル | 複数ノズル(詳細未定) |
| 初期付属ノズル | 焼き入れスチール (炭化タングステンは 別売) | 炭化タングステン (焼き入れスチールは 別売) | 焼き入れスチール (炭化タングステンは 別売) | 不明 |
| 最大造形サイズ(mm) | シングルノズル: 325×320×325 デュアルノズル: 300×320×325 2ノズル合計: 350×320×325 | シングルノズル: 325×320×325 デュアルノズル: 300×320×325 2ノズル合計: 350×320×325 | 340×320×340 | 不明 |
| ツールヘッド 強化冷却ファン | 別売 | 〇 | × | 不明 |
| ノズルカメラ | 〇 | 〇 | × | 不明 |
| BirdsEyeカメラ | 〇(レーザー版のみ) | 別売 | 〇(レーザー版のみ) | 不明 |
| センサー数 | 36 | 36 | 23 | 不明 |
| レーザー加工 | 10W、40W対応 | 10W、40W対応 | 10W対応 | 不明 |
| 有線LAN接続 | × | 〇 | × | 不明 |
| 内蔵メモリ | 8 GB EMMC | 32 GB EMMC | 8 GB EMMC | 不明 |
付属品の違い
以下の表は、Bambu Lab公式Wikiに基づいた付属品の違いをまとめたものです。Laser版・Combo版など、各セットによって付属品が異なるため参考にしてください。
※本付属品一覧はBambu Lab公式Wikiに基づいた内容です。実際の付属品はセットや販売時期によって異なる場合があります。
※スマホの方は横にスクロールできます
※付属品名をクリックすると各付属品の説明部分に移動します
| 付属品/機種 | H2D単体 | H2D Combo | H2D Laser版 | H2D Pro | H2S単体 | H2S Combo | H2S Laser版 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AMS 2 Pro | 別売 | 〇 | 〇 | 〇 | 別売 | 〇 | 〇 |
| AMS HT | 別売 | 別売 | 別売 | 〇 | 別売 | 別売 | 別売 |
| ビジョン エンコーダー | 別売 | 別売 | 別売 | 〇 | 別売 | 別売 | 別売 |
| AMS用電源 アダプター | 別売 | 別売 | 別売 | 〇 | 別売 | 別売 | 別売 |
| 緊急停止ボタン | 別売 | 別売 | 〇 | 〇 | 別売 | 別売 | 〇 |
| BirdsEyeカメラ | 別売 | 別売 | 〇 | 別売 | 別売 | 別売 | 〇 |
| カッティング モジュール | 別売 | 別売 | 〇 | 別売 | 別売 | 別売 | 〇 |
| レーザー モジュール | 別売※ | 別売※ | 〇 (10W or 40W) | 別売 | 別売※ | 別売※ | 〇 (10W) |
| サプライボックス (レーザー/ カッティング用 付属品) | 別売(一部販売無し) | 別売 (一部販売無し) | 〇 | 別売 (一部販売無し) | 別売 (一部販売無し) | 別売 (一部販売無し) | 〇 |
各項目の説明
ノズル数
H2シリーズの中でも、モデルによってノズル構成が大きく異なります。用途や造形スタイルに合わせて選ぶポイントとなる部分です。

H2D デュアルノズル 
H2S シングルノズル
H2D、H2D Pro はデュアルノズル仕様で、異なる素材の同時造形や、片方のノズルをサポート材専用に使用可能です。色や素材の切り替え時のパージを減らせるため、造形時間の短縮や廃材削減にもつながります。
H2S は、シングルノズル仕様で、単色・単素材の造形に特化。軽量で構造がシンプルなため、高速造形や安定した押出制御が可能です。大量造形や試作用途に適しており、スピードと安定性を重視するユーザーに向いています。多色・異素材造形にはAMSを用いた切り替え運用が必要です。
H2C(開発中)は、自動ホットエンドアセンブリ交換機構を搭載予定です。ノズルやヒーター、ヒートブレークを含むホットエンド全体を自動で交換でき、従来のノズル交換方式とは異なります。異なる素材や専用機能への切り替えがスムーズで、材料の無駄を最小限に抑えつつ、多用途な造形が期待されています。
初期付属ノズル

焼き入れスチールノズル 
炭化タングステンノズル
開封時にヘッドに装着されているノズルの種類です。
H2DおよびH2Sは焼き入れスチール製で、一般的なフィラメントの造形に適しています。
H2D Proは炭化タングステン製で耐摩耗性が高く、炭素繊維入りなど硬めの素材でも安定した造形が可能です。
※H2DおよびH2Sでも炭化タングステンノズルは別途購入して使用可能です。
H2D Proも焼き入れスチールノズルを別途購入して使用可能です。
最大造形サイズ(mm)
各モデルのノズル構成や使用方法により、造形可能なサイズが異なります。
H2D、H2D Proは、シングルノズル使用時で最大325×320×325mm※、デュアルノズル使用時で最大300×320×325mm、2ノズルを組み合わせた場合は最大350×320×325mmまで造形可能です。
(※右ノズル使用時の最大造形サイズです。左ノズルの場合 最大325×320×320mmとなります。)
H2Sはシングルノズルで、340×320×340mmの広い造形エリアを活かした大型パーツの造形に適しています。
ツールヘッド強化冷却ファン

強化冷却ファンは H2D Proにのみ標準搭載 されています。
フィラメント冷却性能が向上しており、ブリッジやオーバーハングなどの複雑な形状でも高精度な造形を実現します。
H2Dではオプション対応、H2Sでは使用不可となっています。
ノズルカメラ

ノズルカメラは、造形中のノズル先端や積層状態をリアルタイムで確認できる機能です。
ノズル付近を拡大視点で捉えることで、初層の密着や造形中のトラブルを素早く検知できます。
遠隔モニタリングにも対応しており、離れた場所からでも造形の進行状況を確認可能。
より安心・精密な3Dプリントをサポートします。
H2DおよびH2D Proに標準搭載され、H2Sは非対応となります。
BirdsEyeカメラ

BirdsEyeカメラは、主にレーザーカット時に使用されるカメラシステムです。
素材表面を上方から撮影し、カット位置の確認やトレースを行う際に活用されます。
レーザーモジュールやカッティングモジュールを使用する際には、加工精度を高めるためにカメラのキャリブレーション(校正)が推奨されています。
これにより、素材の位置ズレを抑え、正確なカットパスを実現します。
H2D/H2Sのレーザー版には開封時から装着されており、単体やAMS Comboにはオプションで装着可能となります。
センサー数
H2DおよびH2D Proには36個、H2Sには23個のセンサーが搭載されています。
これらのセンサーは、装置の動作や環境を検知し、安定した造形を支える役割を担っています。
レーザー加工
H2DおよびH2D Proは、10Wおよび40Wのレーザーモジュールに対応しており、素材や用途に応じて出力を選択できます。
一方、H2Sは10Wレーザーに対応し、木材やアクリルなどの薄板加工や刻印に適しています。
有線LAN接続
H2D Proのみ有線LANポートを搭載しており、安定したネットワーク通信が可能です。
H2DおよびH2Sは無線LAN(Wi-Fi)接続に対応しており、クラウド経由でのデータ転送やリモート操作を行うことができます。
内蔵メモリ
各モデルには内蔵メモリが搭載されており、プリントデータの保存や直接読み込みが可能です。
H2DおよびH2Sは8GBのEMMCを搭載しており、一般的な3Dプリントやレーザー加工データの管理に十分対応できます。
H2D Proは32GBのEMMCを搭載しており、より多くのデータを保存したり、大容量ファイルを扱う場合や連続プリントの際に便利です。
付属品(表)についての補足
以下は、表に記載されている付属品に関する補足情報です。表に載っていない、すべてのモデルに共通して付属するアイテムについては省略しています。
AMS 2 Pro

最大4本のフィラメントを装着できる自動フィラメント交換システムです。造形中に素材や色を自動で切り替えられるため、多色造形や異素材プリントを効率的に行えます。
H2D単体およびH2S単体には付属していないため、開封後すぐに多色での印刷を行いたい場合は、Combo版またはLaser版を選択するのが適しています。
H2D Proには標準で付属しています。
AMS HT

AMS HTは、1本のフィラメント専用の自動フィラメント交換システムです。AMS 2 Proのように複数スプールを同時に管理することはできませんが、より高温でのフィラメント乾燥が可能で、ナイロン、PPA、カーボンファイバー配合材など、湿気に敏感な高性能素材のプリントに最適です。
H2D Proには標準で付属しますが、それ以外のモデルでは別売オプションとなります。
ビジョンエンコーダー

ビジョンエンコーダーは、カメラによる光学検出でプラットフォームの位置を高精度に補正するシステムです。従来のビジョンエンコーダーは、カメラによる光学測定と高精度プレートの組み合わせにより、作業範囲全体で一貫した50µmの動作精度を実現するシステムです。これまでのモデルと比べて精度が大幅に向上しており、高速印刷や多色プリント時でも安定した造形品質を保ちます。
H2D Proモデルに標準で付属しており、その他のモデルではオプション扱いとなります。
AMS用電源アダプター

AMS用電源アダプターは、AMSユニットを複数台接続する際に、各ユニットの乾燥機能を安定して動作させるために使用する補助電源です。1台のみ接続する場合は不要ですが、2台以上のAMSを同時に使用する際には必要となります。
H2D Proモデルに標準で付属しており、その他のモデルでは別売オプションです。
緊急停止ボタン

緊急停止ボタンは、レーザー加工時などの動作中に機械を即座に停止できる安全装置です。異常や誤作動が発生した際にワンタッチで中断できるため、安全性を重視した運用が可能になります。
H2D Laser版、H2D Pro、H2S Laser版に標準で付属しており、その他のモデルでは別売オプションです。
BirdsEyeカメラ
H2D/H2Sのレーザー版には開封時から装着されており、単体やAMS Comboにはオプションで装着可能となります。
詳細は上記の「各項目の説明」の「BirdsEyeカメラ」をご確認ください。
カッティングモジュール

紙や革、ステッカーなどの柔らかい素材を精密に切断できる専用モジュールです。
レーザーモジュールとは異なり、物理的なブレードで加工を行うため、焦げや熱変形を抑えたカットが可能です。
H2D/H2SのLaser版には標準で付属しており、それ以外のモデルは別売オプションとなります。
レーザーモジュール

10Wレーザーモジュール 
40W レーザーモジュール
レーザーモジュールは、Laser版モデルにのみ付属するユニットです。
H2D Laser版には10Wまたは40W、H2S Laser版には10Wモジュールが付属しており、出力によって加工できる素材や速度が異なるため、用途に応じた選択が可能です。
各単体モデルやCombo版、H2D Proには同梱されていないため、必要に応じて別売オプションとして追加購入する形となります。
※単体やCombo版でレーザーモジュールを使用するには、レーザーアップグレードキットやレーザー用安全扉への換装が必要です。レーザーカットの使用を想定する場合は、Laser版の購入をおすすめします。
サプライボックス(レーザー/カッティング用付属品)

サプライボックスは、レーザー加工やカッティング加工を行う際に使用する補助ツールや消耗品をまとめたセットです。
内容物には、焦げ防止用の保護シート、固定用マグネット、スクレーパー、交換用ノズル、カッターマットなどが含まれる場合があります(構成はモデルや販売時期によって異なる可能性があります)。
Laser版モデルには標準で付属していますが、その他のモデルでは別売オプションとなり、一部の内容物は単体販売が行われていません。
まとめ
Bambu Lab「H2シリーズ」は、H2DやH2D Proのデュアルノズルによる多色・異素材造形、H2Sのシングルノズルによる高速・大型造形、そして開発中のH2Cに搭載予定の自動ホットエンド交換機構など、モデルごとに異なる特徴を持っています。
AMSが付属するCombo版や、レーザー加工・カッティング機能を活用できるLaser版など、付属品やオプションの違いによって、用途に合わせた最適な構成を選択できます。
これらの特長を理解し、利用シーンや導入目的に応じてモデルや付属品を選ぶことで、より自由で効率的な製作体験が実現します。
- H2D・H2D Pro
デュアルノズルを搭載しており、異なる素材や色を同時に造形できます。特にH2D ProはAMS 2 Proや強化冷却ファン、ビジョンエンコーダーなどが標準装備され、高精度かつ多用途な造形が可能です。多色や異素材造形を重視する方に最適です。 - H2S
シングルノズルで単色・単素材造形に特化しており、軽量かつ高速で大型造形にも対応します。シンプル構造のため安定性も高く、大量造形や試作用途に向いています。 - H2C(開発中)
自動ホットエンド交換機構を搭載予定で、異なる素材や専用機能への切り替えもスムーズ。材料の無駄を抑えつつ、多用途な造形が期待できるモデルです。
APPLE TREEでは、お客様の利用シーンや導入目的に合わせて、最適なモデルや構成をご提案しています。プリント素材や造形サイズだけでなく、拡張性や保守サポートまで含めた選定が、長期的に安心して3Dプリントを活用する鍵です。
今後もAPPLE TREEは、最新の3Dプリント技術や周辺機器の情報をわかりやすく発信し、ものづくりの現場を支える最適なソリューションを提供してまいります。















