自律から自信へ、そして自由へ。なぜSTARAYは日本市場を動かす「中国発のフットウェア・テックブランド」になれたのか
- 2025.6.13
- 3Dプリントシューズ STARAY

近年、「国産ブランドのグローバル展開」が加速する中、中国のスポーツブランドは欧米市場で存在感を強めつつある。一方、文化的に近く、交流も盛んなはずの日本市場では、これらのブランドは未だ本格的な浸透には至っていない。
そんな中、まったく無名で先行優位のなかったある新興ブランド「STARAY」が、わずか半年足らずで日本のスニーカーカルチャー、アウトドア、テック消費層の中に急速に認知を広げつつある。
この成功は偶然ではなく、その背後には長期的な視野とローカライズを徹底した運営戦略がある。運営元であるAPPLE TREE株式会社は、日本市場への深い理解と覚悟ある実行力で、まったく新しい「ブランド越境」の道を切り開いている。

中国のスポーツブランドが本土での強力なファンベースを持ちながらも、日本では「ブランド空白地帯」に近い存在となっている背景には、有名スポーツブランドが長年培ってきたローカルプレゼンスとのギャップがある。加えて、中国スポーツブランドの「中国風」ヴィジュアルの押し出しや、パフォーマンス重視の設計は、日本の消費者が好む『シンプルで質感のある』美意識に十分応えきれていない。さらに、日本国内に公式サイトや直営販路が存在せず、リアルなブランド接点やストーリーテリングも不在なため、実質的な存在感は非常に薄い。
これに対し、STARAYはまったく異なるアプローチを採った。流行やセレブとのコラボに頼らず、「テクノロジー×快適性」というコアバリューに一点集中。「スニーカー」でも「サンダル」でもない、『次元の異なる履き心地』を目指し、根本的に靴作りの論理を見直した。
その結果、誕生したのが3Dプリントによる高反発ソールと全面通気構造のアッパーを持つSTARAY。長時間履いても疲れにくく、裸足のような自由さと包まれる安心感を同時に提供する。日常もアウトドアも対応可能なこの『未来の履き心地』が、日本のユーザーの共感を得るのに時間はかからなかった。現在までに全世界で10万足以上が販売され、日本国内の直営店舗でも売上記録を更新し続けている。

STARAYの製造は、中国の最先端3Dプリンターメーカー『PollyPolymer』による全面サポートのもと行われている。PollyPolymerの「AM技術スマートファクトリー」は、世界でも数少ない高性能エラストマーに特化した3Dプリント・スマートファクトリーであり、総投資額は200億円を超える。その中で開発された格子構造(ラティス)、通気性中空技術、柔軟な足型適応構造により、STARAYは軽量性・反発性・耐久性・快適性のすべてを兼ね備えた履き心地を実現し、従来製法の制約を乗り越えることに成功した。

一方、Z世代を中心に、若者の靴に対する価値観も静かに変化している。あるネットコメントにはこうある──
「今の若者が靴にお金を使うのは、2種類だけ。見せびらかす“メンツ靴”か、実際に使える“実用靴”」
SNS映えする限定モデルを競って手に入れる一方で、通勤や長時間の立ち仕事に耐えられる“仕事の相棒”としての履き心地が求められている。
かつて「ダサいアメリカのおじさん靴」と揶揄されたとあるシューズブランドが、今や『働く人のエネルギーチャージ』としてリブランディングに成功したように、STARAYも『快適+実用性+感情価値』という時代の波を見事に捉えた。
そのブランドが看護師や販売員、教師など立ち仕事層の心を厚底とクッションでつかんだなら、STARAYは『未来の履き心地』という切り口でテックスニーカーの概念そのものを再定義したのである。

STARAYの躍進を支えているのは、広告ではない。実際に履いた人の「声」だ。
「まるで浮いてるみたい」「他のブランドが履けなくなった」「サンダルの爽快感とスニーカーの安定感」「オフィス用スリッパの決定版」「蒸れ知らずの足裏革命」──
これらのリアルな口コミが、日本のSNS上に溢れ、YouTuberやフィットネス系インフルエンサー、キャンパーたちの自発的な投稿によって、ブランド認知は多様なシーンへと波及している。
この成果の背後には、APPLE TREE株式会社による超高密度の市場アクションがある。
日本進出半年以内に、日本語公式サイトとECをローンチし、直営店舗のオープン、東京・名古屋・大阪・神戸・福岡の5都市展示会への出展を完了。さらに、東京アパレル展では唯一の3Dプリントシューズブランドとして話題を集めた。

大丸百貨店とのポップアップ、Instagram、X(旧Twitter)、TikTok、YouTubeなどでの全方位プロモーションも展開し、現地のレビュー系インフルエンサーや来店者の体験投稿がブランド認知を後押ししている。さらに、セレクトショップへの卸展開も進み、日本商流との好循環が生まれている。
そして今、STARAYは第2号の直営実店舗も大阪・なんばにオープン。「ブランドは一夜のバズではなく、行動の積み重ねと長期的なビジョンで信頼を得るもの」という信念のもと、物理的な場を通じてブランドの哲学と未来への意志を体感してもらおうとしている。
STARAYは、これからも「自律・自信・自由」というブランドの核心理念をもって、未来のあるべきフットウェアのあり方を問い続ける。

APPLE TREEにとって、日本市場は決して簡単な場所ではない。しかしだからこそ、STARAYの伝えたい“機能性と感情価値の共存”というメッセージは、この国の消費者に深く響く。
APPLE TREEは、STARAYが『日本で初めて本質的に受け入れられる中国発のシューズブランド』になるだけでなく、『未来のものづくりと日常美学の融合』を象徴する存在となることを目指している。
STARAYのブランド理念は、極めて明快かつ奥深い。「自律」とは、自分たちの立ち位置を明確に認識し、ブレずに積み上げる力。この自律の積み重ねが「自信」を育て、確かな軌道を築く。そして「自由」とは、自信をもって自らの道を選び、恐れずに進むことができる状態を指す。売上や受賞歴、シェア率といった数値的な成功ではなく、『信頼されるブランドとして、自らの成長をコントロールできる力』こそが、STARAYの考える「自由」なのだ。STARAYはそんなブランドを目指している。科学と快適性を両立し、ユーザーの「自律→自信→自由」のステップを足元から後押しする──それが一足の靴に込めたSTARAYの哲学である。
現在、大阪・北堀江にある直営店は、多くの来店者にとって『未来の履き心地』を体験する特別な場所となっている。店内は白を基調にしたミニマルな美学が貫かれ、整然と陳列された壁面、ガラス越しに見える靴たちは、デザインとテクノロジーの融合を自然に伝えている。
ここに訪れる一人ひとりは、単なる試着ではなく、テクノロジー、美学、そして理念が交差する『生活空間』に足を踏み入れることになる。
STARAYは、『履き心地の良さ』だけでなく、『未来と今を繋ぐ態度ある一足』として、今後も新たな挑戦を続けていく。
