【活用事例】大阪夕陽丘学園高校 様
- 2025.6.3

導入事例の概要
導入の目的
3Dプリンターの新規導入による教育への利用
導入の背景
3Dプリンターの動画を見て「これは教育にも活用できるのでは」と思っていた。
そんな折に、DXハイスクールの申請が通って3Dプリンターと3Dスキャナーを導入して新しい教育用のカリキュラムを組むことになった。初心者でも操作しやすい機種を前提に選定し、Bambu Lab X1Cを導入することとなった。
目的 | 教育のための環境づくり |
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業種 | 学校法人 |
エリア | 関西 |
インタビュー
この度、Bambu Lab製3Dプリンター「X1C」を導入いただいた大阪夕陽丘学園高校 様にインタビューを実施させていただきました。
大阪夕陽丘学園高校では、以前より3Dプリンターを活用した教育を考えていて、DXハイスクールの補助金申請が通ったタイミングで3Dプリンターと3Dスキャナーを活用した新たな教育用カリキュラムを組むことになり、初心者でも扱いやすい「X1C」を導入いただきました。
導入前に抱えていた課題
– 御校での3Dプリンター導入前の課題について教えてください。
本校は全校生徒が1200人いるため、1学年だけでも400人ほどの生徒が在籍しています。文系の生徒が多い学校ですが、ものづくりを通して論理的思考や創造性を育み、社会に出たときに視野を広げるきっかけを作りたいと考えていました。しかし、この人数に対して、セッティングや指導に時間がかかるような機材では現実的に運用は難しいです。ただ、3Dプリンターがあれば、生徒たちが枠組みにとらわれず、自分からものづくりに取り組む環境が作れるのではと期待していました。
– 生徒が自ら取り組む場を作りたかったということですね。
今までの課題は、生徒が「授業で与えられた問題をクリアするだけ」で終わってしまうことでした。探究的な学習だけで終えるのではなく生徒の挑戦する意欲を高め、アントレプレナーシップを育む必要があったのです。また、普段の授業では数値データを見ることはあっても、手に取って試行錯誤する機会がほとんどありません。手を動かすことで「何が違うのか」「なぜうまくいかないのか」を実感できる場が欲しかったんです。情報を与えすぎずに試行錯誤させることで、「やってみて初めて気づく」体験を増やしたいと考えていました。
導入の経緯
– 導入に至った経緯について教えてください。
もともとYouTubeで3Dプリンターを使ったものづくり動画を見ていて、「これは教育にも活用できるのでは」と思ったのが導入を考えたきっかけです。高等学校DX加速化推進事業について検討していたタイミングだったこともあり、その補助金を活用して、3Dプリンターとスキャナーを導入し、新しいカリキュラムを組むことにしました。全校生徒に対応する必要があったため、3Dプリンターは計5台導入しました。
– 数ある3Dプリンターの中で「Bambu Lab X1C」を選んだ理由は何だったのでしょうか。
他の機種も検討しましたが、X1Cの操作性が決め手でしたね。ディスプレイが付いていて単体で操作できるので、生徒が直感的に扱いやすいと感じました。 また、AMS(自動フィラメント供給システム)のおかげでフィラメント(=素材)管理が非常に楽だと感じています。生徒は好きな色をパレットから選ぶだけで良く、外に出しっぱなしにして素材を劣化させることもありません。クローズ式でカバーされているため、生徒が誤って手を入れる心配がなく、安全面でも安心です。万が一、エラーが起きても自動で停止するので、教員が常に見張る必要がないのは大きなポイントでした。

生徒の変化
– 実際に導入されてから、生徒たちにはどのような変化が見られましたか。
まず、生徒が主体的に取り組むようになりましたね。授業時間だけでなく、放課後にも自主的に取り組む姿が増えました。「こういうものを作りたい」と自分で課題を設定し、質問しに来るようになったんです。それに、生徒同士で教え合う場面も増えました。得意な生徒が苦手な生徒に教えてあげたり、逆に苦手な生徒がアイデアを閃いたりと、協力し合う姿が自然に生まれました。
– 生徒の成長が見られる瞬間ですね。
はい。当初は得意な生徒と苦手な生徒で課題を分けようとしていたんですが、実際には得意な生徒が自然と苦手な生徒をサポートする流れが生まれました。その結果、苦手な生徒が意欲的に取り組むようになりました。

授業構成への影響
– 3Dプリンターを導入したことで授業の構成にどのような影響がありましたか。
授業の設計自体が変わりました。私たちは「枠組みを決めすぎると創造性が発揮されにくくなる」と考えているので、あえて枠を緩くしたんです。モデリングツールの使い方と作品の世界観だけ伝え、あとは生徒が自由に設計するスタイルにしたところ、少しずつ自走する授業に変化していきました。
– 生徒の自由な発想を引き出す工夫ですね。
そうですね。また、「やり直し」を認めることで、生徒たちが失敗を恐れずに挑戦できるようになりました。最初のワークでは「手元にあったらワクワクするもの」というテーマを伝えたところ、生徒は自然と夢中になってモンスターボールを作っていました。
– 生徒の自由な発想を引き出す工夫ですね。
はい。TincarCADを使い、ARで手元に作品を表示することで、よりリアルに作品を体感できました。

直観的で初心者にも理解しやすい点が特徴だ。
今後の展望
– 今後はデジタルツールの導入についてどのような展開を考えていますか。
今後はUVプリンターやレーザーカッターの導入を検討しています。文系・理系に関係なく、「作り手」を体験させることが大事だと考えています。ものづくりを通じて設計の難しさや価値を実感し、消費者視点から作り手視点へと変化してくれれば嬉しいですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
組織情報

大阪夕陽丘学園高校
設立:1939年
ホームページ:https://www.oyg.ed.jp/
〒543-0073 大阪市天王寺区生玉寺町7-72
※文中記載の組織名、所属、役職、サービス名などはすべて2025年3月取材時点のものです。